中学校給食に関する視察報告【相模原市】

はじめに

相模原市は、津久井・相模湖・城山・藤野と旧4町と合併し、平成22年に政令指定都市となりました。旧相模原市は中学校給食を行っていませんでしたが、旧4町は以前より中学校給食を実施していたところもあり、旧城山町・旧津久井町では継続して現在も「給食センター方式」の完全給食を実施しています。その他の地域では5つのブロックに分け「デリバリー方式」の給食を実施しました。

相模原市の中学校給食

相模原市の中学校給食は、業者さんが作ったお弁当をデリバリーする「昼食」を採用しましたが、その特色は大きく2つ。

一つ目は、相模原市の栄養士さんが献立を作成し、食材の発注を行うということです。この献立に基づき、業者さんの調理場でお弁当を調理し、各学校に納入しています。学校に給食室を建設すると1校あたり4億円程かかるので、これによって初期投資も抑えながら、おかずの内容や味付けといった細かな点まで栄養士さんが愛情を持って日々改善や工夫することが出来ます。

二つ目は、給食予約システムです。Web方式のシステムを導入することにより、自宅PCや携帯電話から給食の予約が出来ます。また、コンビニエンスストアより給食費を事前に払込むルールとしているため、以前、社会問題といなった給食費の未納問題を解決しています。給食予約の申込・変更・取消は食材の発注調整の関係から7日前までとしています。子ども達が直接お金を扱う必要も無く、とても利便性の高い方式です。

また、その他の特色として、給食食材の25%に地場農産物を使用しています。これは地元市場との提携によって実現できたことだそうです。

良い話ばかりではなく、もちろん課題もあります。学習指導要綱は以前より指導内容が増えてきています。中学校の授業時間を確保するためには、昼食の時間も無駄に出来ないといった実情があるそうです。本来なら皆さんが小学校で体験してきた1クラス分のおかずを大きな容器で運び、生徒ひとりひとりに配膳するといった体験が共同生活において必要なことと思いますが、今はその配膳時間すら省かなければならない状況にあるそうです。そのため相模原市では個人別のランチボックスを採用しています。

また国の指導で、おかずのデリバリーは一定温度以下で保管しなければならなく、今の時期はとてもおかずが冷たく感じます。もちろん栄養士さんは、冷たくても美味しい献立を考える努力をしています。

相模原市では、中学校給食の利用率は6割と想定し整備を進めてきましたが、実際も5割~6割で推移しているそうです。利用率が6割の場合、一日の調理数は約1万500食となり、年間給食日が180日とすると、一年で約189万食が調理されることになります。それを中学校給食の運営経費を割ると1食あたりのコストは約650円となります。生徒の負担額は1食あたり300円ですから、残りの350円が市費負担となっています。相模原市のように民間業者に委託して調理しても半分以上が市費負担となっています。子ども達の栄養バランスを考え、健やかに育つ環境をつくるために、それでも給食室を備えた完全給食が良いのか?中学校給食は実施しない方が良いのか?皆さんはどのように考えますか?

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