予算特別委員会にて消防局の質問を行いました

2月29日に平成24年度予算第二特別委員会の局別審査において、「消防局」の予算内容に関して、

1.「住宅用火災警報器の設置促進」

2.「震災時の避難場所のあり方」

3.「災害時の情報伝達方法」

4.「消防職員の人材育成」

の事業及び項目に関して質問を行いました。私の問題意識と質問した内容は以下の通りです。

東日本大震災では、私たちは多くのことを学びました。そして本年度は、本市としても消防局としても果たすべき責務は何なのか、といった観点より地震対策に関し様々な見直しを行う年となりました。そういった背景も踏まえ、「安心・安全を実感できる防災都市ヨコハマ」の実現に向けた平成24年度の予算案について質問を行いました。

1.「住宅用火災警報器の設置促進」

住宅火災から尊い命を守るため、住宅用火災警報器を設置することは、大変に有効なことであり設置促進を図るべきだと感じています。

平成18年6月に施行された消防法改正に伴い、新築住宅については火災警報器の設置が義務付けられました。既存住宅については5年間の猶予期間があり、昨年の5月31日までに設置が義務付けられました。そこで、

(1) 住宅用火災警報器の設置率の推移と把握方法について、局長に伺いました。

設置率は年々向上してきているようですが、法改正に伴い平成18年6月以降の新築住宅には必ず設置されている訳ですから、その増加した分は差し引きして把握しなければなりません。建築局に確認したところ、平成18年6月以降の建築確認申請件数は、現在までに7万4千戸ですので、イコール新築件数として見ることが出来ます。この数は設置促進活動をしなくても自然に増えていく数字です。この数を入れて設置率向上とするのはおかしいと思います。

設置促進は、法改正前の既存住宅を対照としている訳で、そこを重点的に有効な対策を打つ必要があります。そのためには先ず、設置率調査の際に平成18年6月以降の新築物件なのか、その前に建築された既存住宅なのかを明確にして、実態をしっかり把握するべきと考えます。そこで、

(2)設置状況の把握に関する今後の考え方について、局長に伺いました。

実態を把握した上で、有効な設置促進の取組を図っていただきたいと思います。

さて、平成18年の設置義務化に伴い、消防局として、これまでも、火災警報器の設置促進のために様々な取組を行ってきたと思いますが、なかなか結果に結びついていないのが現状であると思います。そこで、

(3)平成24年度における設置促進の取組についての方針を、局長に伺いました。

設置促進の事業費は1250万円ですが、一日も早く全ての住宅に住宅用火災警報器を設置してもらうには、広報活動だけでは費用対効果は薄く、より有効な手段を講じなければならないと考えます。

設置が義務付けられたこと自体を知らない人も居れば、設置しなければならないことはわかっていても設置は不要と思っている方も居るかも知れません。

全ての住宅に設置を促すのは大変なことだとは思いますが、そのような無関心層への対応も含めて、きめ細かな取組を図っていかなければならいと思います。そこで、

(4)設置促進にあたり新たな方策を考えるべきと思いますが、局長の見解を伺いました。

住宅用火災警報器が住宅火災による被害の抑制に一定の効果があることは実証されており、その効果に大きく期待しているところです。

一方で、全国的に設置率も頭打ちとなっている現状もあり、残り約3割の世帯に、いかに速やかに設置して頂くか、全国的な課題となっています。

横浜市は他都市をリードしていく立場であると私は考えています。「安全・安心都市の実現」に取り組む横浜市として、市民の大切な「命」「財産」を守るために、「住宅用火災警報器」の設置促進のために、もう一歩踏み込んだ施策の推進を要望しました。

2.「震災時の避難場所のあり方」

本市防災計画では、様々な避難場所が定義されていますが、その避難場所について、改めて確認しました。

(1)本市防災計画に記載されている震災時の避難場所の種類と位置付けについて、危機管理室長に伺いました。


どれも重要な役割を担っていると思いますが、いっとき避難場所は「地域の皆さんが任意に集合」「自治会・町内会が選定する」となっています。そこで、

(2)いっとき避難場所の現状について、どう把握しているのか、危機管理部長に伺いました。


さて、東日本大震災では、私が住んでいる地域も停電になってしまい、情報が無い中で不安な思いをしながら、近所どうしで集まり情報交換する等、助け合っていました。その経験から、私はいっとき避難場所は重要な役割を担う場所だと思っています。

また、身近な小中学校を地域防災拠点として整備していますが、身近といっても丘をのぼるなど、災害の発生時に状況によっては、高齢者や身体が不自由な方が簡単にたどり着けない場合もあります。地域に暮らす住民にとって、もっと身近な場所で安心できる事が望ましく、その点でも最も身近な、いっとき避難場所の機能を拡充することが必要だと思います。そこで、

(3)いっとき避難場所の位置付けについて見直すべきと思いますが、局長の考えを伺いました。


私は、今の防災計画に位置付けられている避難場所の中では「いっとき避難場所」が地域にとって一番身近な避難場所であるから、それを進化させることが最も有効と考えていましたが、何も「いっとき避難場所」だけに拘っているわけではありません。より身近に安心できる場所を整備することが必要であると思っている訳で、地域の皆さんが安心できる場所として、例えば災害時の情報を得られる場所であったり、あるいは物資の受伝達ができたりと、いろいろなレベルのことが考えられると思います。

行政に全てを頼ろうとするのはとても無理な話で、行政の役割は自助・共助ができる場や手段を提供することではないかと私は考えます。そこで、

(4)実際に震災が発生した時に地域の皆さんが安心できるよう、消防局として何ができるのか、検討をすべきと思いますが、局長の考えを伺いました。

「いっとき避難場所」に固執しなくても構いませんので、いつ起こるか分からない地震に備え、地域の皆さんが安心できるようにスピーディーに新たな枠組みの検討を進めることを強く要望しました。

3.「災害時の情報伝達方法」

冒頭にも述べました通り、昨年の東日本大震災では、今まで想定していなかったことを体験し、たくさんのことを学びました。

ここ横浜においても交通の遮断、それによる帰宅困難者等、多くの課題を残しました。特に問題が露呈したのは情報の不足で、昨年の震災発生直後は、携帯電話だけでなく固定電話も繋がらず、メールの送受信やネットの接続すらままならない状況でした。

また、私の住んでいる地域では停電となっていたため、電源が必要なものは全て利用できない状態で、日常生活の機能が停止したままとなりました。先行きの見えない不安を感じた地域の皆さんは買い溜めに走り、周辺のお店の食料品は全て完売となりました。このような経験より、災害時に重要なのは正確な情報の伝達だと感じました。

以前は、これらの情報伝達のツールとして同報無線を主に考えられていましたが、昨今では、技術もインフラも進歩して、より安価な情報伝達ツールが様々存在しています。そこで、

(1)本市では「情報伝達ツール」として「防災情報Eメール」と「緊急速報メール」がありますが、どういう特徴があるのか、危機管理部長に伺いました。

「防災情報Eメール」や「緊急速報メール」といった情報伝達ツールについては、多額のコストがかからず、多くの市民に情報を伝えられるので、同報無線に代わるツールとして期待しています。

「緊急速報メール」の運用方法を確認してみましたが、提供できる情報の内容が指定されているので、制限があることは理解できますが、提供できる情報の内容の中に「その他緊急情報」と記載されています。この部分で、横浜独自の判断をして有効に運用することが出来ると思いますし、期待を期待しています。

また、もうひとつの「防災情報Eメール」は、受信側で情報の選択ができるので、きめ細かな情報提供ができます。全ての市民がメールを利用できる訳ではありませんが、今までより多くの方々へ、より早くより正確な情報を伝えることができます。そこで、

(2)きめ細かな情報発信に「防災情報Eメール」はとても有効ですが、どのように活用しようとしているのか、局長の考えを伺いました。


区毎にきめ細かな情報をメール配信していくよう検討していくとのことですが、情報化社会において、より早くより正確な情報を提供することは行政の役割として必要であり、発災直後の初期段階における情報伝達は特に重要と考えます。全て行政が負う責務ではありませんが、災害時にどこまでの情報をどのようなツールを使って伝えて行くのか、その枠組みをしっかりと検討すべきと考えます。災害時の広報自体は、災害対策本部広報班として市民局が担うこととなっていますが、

(3)災害時の情報伝達、特に発災直後の情報伝達に関して消防局がリーダーシップを発揮して取り組んでいくべきと考えますが、局長の見解を伺いました。

また全庁的な取り組みとして日々、災害対策を検討している訳ですが、新たな課題に対しては、どの局にも主体性が無いように感じてしまいます。ここの部分が組織の課題であると私は感じているのですが、今の実情を踏まえ

(4)全市的な立場から副市長の見解を伺いました。


発災時に現場の最前線で活躍するのは消防局ですが、物理的な限界があることから、大きな災害が発生した場合、市民の皆さんとの協働が重要となってきます。それを機能させるには、市民の皆さんへ、より早く、より正確な情報の伝達が不可欠です。いつ起こるか分からない災害に対し、市民の皆さんに安心を与え、市民の皆さんの安全を確保するためにも、消防局には大きな期待をしています。

4.「消防職員の人材育成」

今年度、本市の消防職員による不祥事が多く報道されました。東京と並んであこがれである横浜市の消防職員が、賭け麻雀や酒気帯び運転を行うなど、ほんの一部の職員による不祥事であっても、本市としての信用を失墜させてしまったことは本当に残念なことです。そこで、

(1)不祥事が多く発生した原因についてどのように捉えているのか、局長に伺いました。


このようなことを二度と繰り返さないためにも、あらゆる角度から再発防止に取り組む必要があると思いますが、組織の責任回避や言い訳のための取り組みでは意味がありません。職員一人ひとりが不祥事防止に対する自覚をさらに高めていくとともに、市民のために全力で業務を行っていく必要があると考えますが、

(2)一連の不祥事を受けた今後の再発防止のための具体的な取り組みについて、局長に伺いました。


さらに今後、市民の皆さんからの信頼を回復するためには、日々の仕事で応えていくことが必要と思います。横浜市人材育成ビジョンに「人材こそ最も重要な経営資源である。」と記載されているとおり、組織にとって人材は大変重要です。そこで

(3)今後、消防職員の人材育成について、どのように取り組んでいくのか、局長の考えを伺いました。

特に最前線の現場活動においては、人材育成とともに消火、救助等の活動を担う隊員の災害対応能力の維持向上や、若手職員への技術伝承も重要な課題です。そこで

(4)消防隊員の火災、救助等の対応能力の維持向上のための仕組みや訓練について、局長の考えを伺いました。


災害事象は、都市構造の高層化、深層化、大規模化といった変化や、科学技術の急速な進展といった社会的背景の変化などによって、ますます複雑多岐にわたる様相を呈しています。また昨年の東日本大震災のような大規模地震や局地的な集中豪雨等の自然災害など、市民の安全・安心に対する意識は一層高まり、消防に寄せられる期待はますます大きくなっていると思います。『安全・安心を実感できる防災都市ヨコハマ』の実現に向け、大いに活躍されることを期待しています。

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