夕張視察(財政破たん編)

財政破たんした町として以前は良く報道されていた夕張市は、

今どうなっているのでしょうか?

横浜市も今後財政収支がマイナスに転じる予測がある中、

今、何をすべきなのか?

夕張の現状から学んで参りました。

そもそも夕張は炭鉱の町として栄え、

昭和35年頃には人口約12万人で

札幌のつぐ都市として発展してきました。

当時の炭鉱労働者の福利厚生は充実しており、

行政への依存度が低いといった町の歴史があったのです。

夕張市は総面積763km2で東京23区よりも広く、

現在では約1万人の方がこの町で暮らしています。

夕張が財政破たんしたのは平成18年で負債総額は632億円でした。

では何故財政破たんをしたのか?

それは様々な要因が入り交じり複雑化しているようですが、

大きな要因におひとつとしては過大投資があげられます。

夕張は炭鉱に変わる基盤産業として観光を柱に雇用確保等の基盤整備を進めてきましたが、

石炭の歴史村公園を整備したことから始まり、

ホテルや温泉施設、スキー場開発から公園整備まで

次々と箱モノを中心とする投資を行ってきました。

昭和55年には石炭博物館を建設から始まり

ホテルマウントレースイ、ゆうばりホテルシューパロ、ファミリースクールひまわり

幸福の黄色いハンカチ広場、北の零年希望の杜、

北炭鹿ノ谷倶楽部、郷愁の丘ミュージアム等

十数カ所の箱モノもつくってきた。

確かに基盤整備には先行投資が必要ですが、

観光施設のコンセプトがズレていたことや

事業性の判断があまかったりと無駄な投資が多すぎたように感じます。

そもそも学習型集客施設は収益事業としては成立しにくいものだし、

リピーターが確保できない投資にお金を掛け過ぎたようにも感じます。

その結果、元利償還が出来なくなり赤字経営が続き、

それを補うために更なる投資を繰り返すといった負のスパイラルに陥ってしまいました。

その他の要因として人口減に対して行政職員の数が多すぎたことや、

決算時に一時借入金で補てんして赤字額を過少に見せていたとの噂もあるようです。

何れにしても将来の見通しをしっかり考えずに過大投資したことが

財政破たんの要因であることは間違いありません。

現在は、市の職員数も269名から122人となり

部局も17課を7課に整理しました。

当然、行政運営は人手が足りず、

現在は東京都から2名、北海道から12名、その他国からも人材の応援が来ています。

平成22年からは、財政健全化法による「財政再生団体」として

322億円の赤字を解消するために元利償還の返済を14年計画で行っています。

現在は、一部の施設が営業を再開していますが、

今の状況では先が見えない状況もあります。

施設の再開を目指し夕張市は観光施設十数か所をまとめて指定管理に出しましたが、

協約上では儲からない施設は夕張市に返上して良いこととなっており、

その結果、指定管理者はホテルマウントレースイの事業だけ残して、

その他は全て採算が合わないとして夕張市に返上しました。

結局は儲かる施設を夕張市から無償貸付して営業している構図となってしましました。

施設をただで借り固定資産税も払わずに修繕費も行政持ちなら

儲かる事業ができるような気もします。

何れにしても10年の指定管理期間が終了した段階で

この町に賑わいを創出するには、

これらの観光施設をどのような位置付けにしていくのかが重要となってきます。

私は、民間活力の利用をすべきであり、

施設を民間企業に売却または譲渡していくのが良いのではと感じました。

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