議会で「横浜市のひとり親家庭への支援」について聞いてみました!

横浜市のひとり親の数は、平成22年の国勢調査の推計によると、母子世帯と父子世帯あわせて約2万9千世帯となっていますが、親一人の力で家計と子育てを両立しなければならない負担はやはり大きいのではないでしょうか。

厳しい雇用情勢が続く中、子どもをきちんと養っていけるだけの安定した収入を得ることは容易ではありません。

また、孤立しがちな社会の中で、自立のために必要な情報を得ながら健全に子どもを育てていくことは、苦労の連続であると感じています。

そこで、まず、

(1) ひとり親家庭が抱える困難な現状とはどのようなものがあるか、伺いました。

【横浜市の答弁】

ひとり親家庭が抱える困難な状況についてですが、離婚や死別によるストレスを抱えたり、生活についての不安があることで精神的に著しく不安定な状況が起きやすいということが言えると思います。また、生計の維持と子育ての役割を一人で担うことから、子供と接する時間の確保に多くの親御さんが苦労していらっしゃいます。さらに収入面では、本市が平成24年度に行った実態調査によりますと、母子家庭の約4割が年間総収入300万円未満であり、経済的にも困難な状況が把握されています。

ひとり親家庭は、精神的にも時間的にも、また、収入の面でも、厳しい状況にあると思います。

ただ、それぞれの家庭状況は一様ではなく、抱える課題も様々であるため、子育てや相談・情報提供から就労支援まで、総合的な支援が求められているのだと思います。

特に、母子と父子では、抱えている課題にも違いがあり、それぞれの状況を踏まえた支援が必要ではないでしょうか。

そこで、

(2)母子家庭と父子家庭のニーズや課題の違いをどうとらえているか、伺いました。

【横浜市の答弁】

母子家庭と父子家庭のニーズや課題についてですが、母子家庭は、半数が非正規就労で、年間の平均就労収入が父子家庭の半分にも満たず、自立した生活のために安定した収入を得る就労が難しいということが課題となっております。父子家庭では、日常の家事ができずにお困りのほか、相談窓口や支援制度を余り御存じなく、相談相手がいないなど、社会的に孤立しがちな傾向にあります。また、母子家庭と比べて平日に子供と過ごす時間が短い、こうしたことも課題となっています。

母子、父子いずれのひとり親家庭も一般的に孤立しがちであり、周囲にも助けを求めにくい状況もあります。

私自身も「どのようなサービスがあるか分からない」とか「役所に相談に出向くこと自体思いつかない」といった話を聞くこともあります。

まずは、相談しやすく、情報が得やすくなることは支援のスタートラインとして必須のことだと感じています。

そこで、

(3)父子家庭のニーズや課題に対してどう取り組んでいくのか、伺いました。

【横浜市の答弁】

父子家庭に対する取り組みについてですが、子育てや生活問題から就労までの相談窓口やウエブサイトなどでの情報提供を充実します。さらに、社会的な孤立を防ぐため、当事者である父親同士の交流の支援なども行っていきます。また、ヘルパーによる家事援助や一時的な子供の預かりなど、日常の生活支援を行うほか、育児や親子関係、日ごろの生活、教育でお困りのときに、お子さんの通っている保育園、幼稚園、小学校の担任などとの相談を促していきます。こられを通じて親子のゆとりや安心を生み、子供が健やかに成長できるように支援します。

父子の孤立もひとり親家庭への支援では、見過ごせない問題だと思います。ひとり親になることで、必要な情報を得られないまま、仕事に加えて家事や子育ての役割が重くののしかかることも多いようです。

必要な時に相談ができ、必要な情報を得てサービスを受けられることが大切ですが、行政・民間を問わず、支援機関が積極的に連携・協力をする仕組みづくりも必要なことだと思います。

ひとり親家庭への支援が充実するとともに、ひとり親に対する社会全体の理解も深まり、母子と父子の受ける福祉サービスの適用には差がなくなっていくことは大変望ましいことだと思います。

しかし、一方で、婚姻歴の有無によるサービスの格差の問題があります。未婚のひとり親については、税法上は所得税の税額控除である「寡婦控除」が受けられません。

このように婚姻歴の有無によって、保育料や公営住宅の家賃など様々な経済的負担に格差が生じていることは極めて不合理だと感じるところです。

未婚のひとり親の寡婦控除については、国の動きを待たずに独自にみなし適用する自治体も出てきていますが、

そこで、

(4)未婚のひとり親家庭に対する寡婦控除のみなし適用を早期に実施すべきと考えるがどうか、伺いました。

【横浜市の答弁】

未婚のひとり親家庭に対する寡婦控除のみなし適用についてですが、本来は税制度を含め国全体で検討されることが望ましい課題であると考えています。しかし、本市といたしましても、自治体が独自にみなし適用を導入した場合の課題や実施方法等について全庁的に検討を進めており、その結果を踏まえて本市での対応を総合的に判断していきます。

ひとり親家庭の親は、日々の仕事や家事に忙しく、思うように子どもと係わる時間を取りにくいことから、心の豊かさという面で、子どもへの影響も少なくないと思います。

子どもは親や育つ家庭を選べません。経済的に不利になることなく、どのような家庭で生まれ育っても、健やかに育っていけるような社会をめざすべきではないでしょうか。

ひとり親家庭への支援においては、何よりも子どもの健やかな育ちの視点を大事にして進めていただきたいと思います。

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