横浜市職員のメンタルヘルスケア(うつ対策)

本市では、精神疾患による長期休養者の増加を受けて、平成21年に「職員の心の健康づくり計画~こころ計画~」を策定し、改訂を加えながら対策を進めています。

 

現在の第二次計画は30年度までですので、29年度は次期計画に向けて振り返りの年となる訳ですが、そういったことも踏まえて総務局に確認しました。そこではじめに、

 

(1)休職となる職員の疾患としてはどのようなものが多いのか、担当部長に伺いました。

 

《人材育成・職員健康担当部長答弁》

27年度の精神疾患による休職者についてみますと、ストレスが重なることによって、気分が落ち込む等の症状が出る疾患である「うつ病等の気分障害」が全体の7割を占めております。次に「適応障害」が多くなっております。

 

 実状として精神疾患による長期休職者は、H25年315人、H26年316人、H27年には338人と年々増加しており、市内18カ所ある区役所の中には、職員の約5%が長期休職しているという区も実在します。

 

 区役所は、何か困り事があって来る市民も多く、時には窓口等で対応する職員に、感情的な態度や言葉が市民の方から向けられることもあると思います。住民の奉仕者である公務員としての立場だからこそのストレスも、メンタル不調の要因のひとつではないでしょうか?そこで、

 

(2)メンタルヘルスへの理解を深めるために、どのように取り組んでいるか、担当部長に伺いました。

 

《人材育成・職員健康担当部長答弁》

メンタルケアに関する情報発信や、セルフケア研修によって職員自身の意識を高めるとともに、組織として早期に適切な対応ができるよう、区局のメンタルヘルス推進者を対象にした研修等も行っております。また、新任の課長係長に対しましては、部下のメンタル対応に特化した実践的研修を実施しているほか、全運営責任職向けの人材育成者研修の中でもメンタルヘルスの理解を深める内容を盛り込んでおります。

 

職員がメンタル不調で休職に入った場合、職場の同僚の負担も増えますし、休職者が職場復帰したとしても、しばらくは業務の負担軽減などの配慮が必要になりますから、結局は同僚にしわ寄せがいくことになります。そこで、

 

(3)職員が休職となる際の人員配置について、組織としての配慮が必要であると考えますが、局長の見解を伺いました。

 

《総務局長答弁》

職員の休職にあたりましては、休職する職員が療養に専念できること、そしてまた、周りの職員に過度な負担を与えないように、業務分担を変更したり、職場内の協力体制を築くなどの配慮が必要だというふうに考えております。職員が休職となった場合の業務補助の手立てとしては、アルバイト職員の雇用などは、現在でも、各職場の判断で行っているところでございます。また、休職や復職に伴う配慮につきましては、なかなか「いつまで」という期間の目安が立てにくいということがございますので、代替職員の配置は難しい部分もございますけれども、職場全体の状況を勘案しながら、暫定的な職員配置を行っている場合もございます。

 

職員の担っている業務は、経験やスキルがいるものであり、アルバイトで代用できるような業務ではありません。代替職員の配置も人件費の関係から難しいようですし、結局は、職場の同僚に負担が行くわけで、何の解決にもなっていません。

 

当事者や同僚も含めて職員ひとりひとりが活き活きと働くことができるよう、柔軟な配慮をお願いしたいと思います。

 

次に少し観点を変えまして、「こころ計画」でも新規の取組として挙げられている、災害対応業務での職員のメンタルヘルス対策について伺いました。

 

災害が発生すると、被災者ということでは自治体職員においても例外ではなく、昨年4月の熊本地震の際、発災当初約4割の職員が、自宅の損壊等により親戚宅や避難所などに身を寄せたり、車中泊などの状況から参集し、24時間交替で災害対応に当たったと聞いています。

 

本市で大規模災害が発生した際も、同様の状況が想定されます。そういった状況の中、慣れない業務に長時間従事する事で、本市職員の身体はもちろん、心の負担も相当なものになると思います。そこで、

 

(4)災害時の職員の健康管理について、どのような対策を進めているのか、担当部長に伺いました。

 

《人材育成・職員健康担当部長答弁》

東日本大震災以降、被災自治体での職員のストレス等による心身の不調が課題として挙げられております。これまで、日頃の備えと災害時の健康についての啓発リーフレットや、全職員必携の危機管理ポケットブック健康版などを作成・周知し、平時からの備えについて意識付けを行ってまいりました。さらに今年1月には、被災現場での業務におきまして、職員が心身の健康を損なわないために必要な配慮・対応につきまして、主に現場の責任者向けの「災害時の職員の健康管理の手引」を作成し、庁内に周知したところです。

 

本市では、本当に様々なマニュアルが作成されていますが、有効に活用されていないものも散見されるので、今後は、この手引きの周知を徹底して、災害発生時に活用されるものにしていかないと、作成した意味がなくなってしまいます。そこで、

 

(5)「災害時の職員の健康管理の手引」作成を踏まえて、今後具体的にどのように取り組んでいくのか、局長に伺いました。

 

《総務局長答弁》

今年の1月に市の災害対策本部の運営訓練を行いました。この際に、市長から、災害対応時には、今お話しいただきましたこの新たに作成しました手引に基づいて職員のメンタルケアや健康管理に留意するということを明確に指示していただきました。今後は、市災害対策本部運営要領、あるいは区局の各班の運営マニュアルの中に、手引の内容を反映させまして、訓練などを通じて徹底してまいりたいと考えております。また、この内容について、より実践に即したものとなるように、更に充実してまいりたいと考えております。

 

災害対策をいくら進めても、肝心の職員が心身ともに健康でなければ、長く続く復旧、復興の時期を乗り切ることは出来ません。普段から、職員の方々が自覚して、発災時に備えて頂くと共に、手引の内容は定期的に見直して頂きたいと思います。

 

そして同時に、発災時の被災者支援をより円滑に実施できるようにするために、是非、地域防災拠点の運営委員会の委員の皆様など、地域の方々とも内容を共有していくことが必要です。

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