地域防災拠点の強化

 東日本大震災から6年を迎え、昨年は熊本地震も発生し、市民の地震に関する不安が高まっているなか、地域の防災の要として地域防災拠点の重要性がますます増してます。

 

そのような中で、まず、自助・共助の取組みが重要となりますが、市民の命を守るための水や食料などの公助としての備蓄も重要です。そこで、

 

(1)地域防災拠点の備蓄品配備の考え方について室長に伺いました。

 

《危機管理室長答弁》

備蓄につきましては、市民の皆様の自助を原則として、各ご家庭で最低3日分の備蓄をお願いしておりますけれども、自宅の倒壊等で備蓄品が持ち出せない方のために、公助として、地域防災拠点に水缶詰やクラッカー等を一律2,000食セット備蓄しております。また、発災時に備蓄品の不足が生じた地域防災拠点につきましては、近隣の方面別備蓄庫から供給する計画となっております。

現在、地域防災拠点の備蓄品目や数量は市内458ある全防災拠点で同一とのことですが、そもそも区別の想定避難者数には違いがあり、全拠点同一の品目や数量であることに対し、疑問を感じます。

横浜市防災計画では、想定避難者数は1防災拠点あたり青葉区が200人なのに対して、中区は4000人となっています。そもそも中区や鶴見区では、想定でも1000人分の食料では足りない状況となっています。また、災害時に特別な配慮が必要となる高齢者や乳幼児の数も地域ごとに事情は異なると思います。そこで、

(2)地域防災拠点の備蓄品に関し、被害想定や人口特性に配慮して、品目や数量を工夫すべきだと考え、局長の見解を伺いました。

 

《総務局長答弁》

地域防災拠点の備蓄品は、主に発災直後の数日間命をつなぐものとして最低限必要なものを備蓄しております。水や非常食、高齢者や乳幼児に配慮したおかゆや粉ミルクなど、各拠点共通で備蓄しております。これは、備蓄庫のスペースが限られている中で、さまざまな方が避難して来られるということを想定して、汎用性の高い備蓄品を配備するということに考慮しているためです。発災直後は、迅速な物資供給を最優先に考えて、プッシュ型によって、さらに、補給をしてまいりますが、支援物資や流通物資等の活用が可能となった段階で、速やかに避難者のニーズに応じたプル型の供給に切り替えてまいります。また、数量につきましては、区毎に被害想定が異なることを踏まえまして、必要な数量を、拠点と方面別備蓄庫に備蓄をしております。

 様々な避難者を想定して、備蓄品目を配備していることは分かっています。備蓄庫のスペースが限られているからということが優先される理由にはなりません。

 

防災拠点によっては、著しく高齢者が多い地域も存在しますし、避難対象者が多い地域も存在するので、やはり防災拠点ごとに品目と数量を、柔軟に現場に合わせて配備する必要があります。

 

具体的には、この場で総務局長と私で決めるものではありませんので、そこで提言なのですが、

 

(3)地域防災拠点の運用や予算執行は、自助・共助が基本となる拠点運営委員会の判断権限を増やすべきと考えますが、局長の見解を伺いました。

 

《総務局長答弁》

地域防災拠点の運営は有村議員のおっしゃる通り、拠点運営委員会にお願いしておりますけれども、どの拠点においても一定の機能が果たせるように、公助として行政が、備蓄品の更新やあるいは資機材の整備というものを行っております。拠点ごとに予算執行して、備蓄品を購入していただくというお考えもあるかと思いますが、備蓄品の円滑な更新、あるいは大量購入によるスケールメリット等がなくなるという課題もございます。拠点によっては、地域防災活動奨励助成金などを活用して、独自の工夫をされているところもあると承知をしておりますけれども、当面は各拠点の状況を見極めていきたいと考えております。

 

今の答弁では、課題も多くなかなか難しいとのことですが、各防災拠点の希望する数量をまとめて集中購買すればスケールメリットは同じです。

 

例えば、問題意識を持っている拠点だけでも、手上げ方式にして、備蓄品の購入や管理等の判断権限を委譲していくべきではないでしょうか。

 

また、地域防災拠点も設立から20年以上経過し、東日本大震災や熊本地震といった災害を踏まえ、その役割も変わってきていると思います。そこで、

 

(4)地域防災拠点の在り方や備蓄の考え方について、有識者を含めた会議等で第三者の意見も含めて検討すべきと考えますが、局長の見解を伺いました。

 

《総務局長答弁》

これまでも本市の災害対策については、外部の方々などの御意見をいただきながら進めてまいりましたけれども、東日本大震災や熊本地震等を踏まえまして、車中泊やテント泊など、新たな避難形態への対応が必要になっていると認識しております。このために、29年度は、外部の有識者を交えました検討会を新たに設置いたしまして、この中で、地域防災拠点の在り方や備蓄の考え方についても検討してまいりたいと考えております。

 

 公助としての行政の役割にも限界があり、地域の方々の自助・共助による取組みの重要性が高まっています。

そのためにも、拠点運営委員会の権限のさらなる強化に向けて、拠点の在り方や備蓄の考え方について、検討を進めていくことが重要です。

 

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