水道局の30年度予算編成をチェックしてみました!

市民の皆さんから頂いている水道料金ですが、そのお金がきちんと使われているのかを平成30年度の予算を見ながら確認してみました。

ちょっとマニアックな話なので、市民の皆さんには分かりにくいかもしれません。

ポストに入っている明細からも分かるように、市民の皆さんからは水道使用量=下水道使用量として両方を料金を徴収していますが、横浜市の場合は、水道と下水道はまったく別の公営企業として運営をしています。

利用料収入といった観点では、水道も下水道も同じ状況ですが、水道は下水道と違い大きく歳入、歳出の仕組みが異なっているのです。

下水道事業は、雨水処理も行なっているので、その公益的役割から年間120億円以上の国庫補助金が入り潤沢な予算なのです。

一方で、水道事業の国庫補助金等は2億円以下で、下水道事業と比べ、自主自立運営を徹底していかなければならないといった厳しい状況にあるのです。

そういった状況の中、全国的に水道事業を取り巻く経営環境は、人口減少等による料金収入の減少や、施設・管路等の老朽化に伴う更新投資の増大により、その厳しさが増すことになると見込まれ、中長期的には、経営努力を行っても、経営を続けることが難しくなる団体が出てくることが懸念されます。

本市においても、今のところ人口は増加しているので大丈夫といった楽観的な状況ではなく、来年をピークにその後は人口が減少すると推計しており、まさに今は、岐路に立たされている状況です。

30年度予算案を見ると、このような中、災害対応力の強化など既存の課題に加え、新規事業にも積極的に取り組もうとしており、大変意欲を感じる予算案であるというのが率直な感想です。

そこで、30年度予算案の編成にどのような考えで取り組んだのか

(1)30年度予算編成にあたっての基本的な考え方について、局長に聞いてみました。

《局長答弁》
「厳しい経営環境を背景にいたしまして、30 年度から、審議会を立ち上げ、水道料金についての議論を始めます。料金の議論をするということは、水道局のすべての事業が効率的・効果的に行われているかが厳しく問われることでもあると考えています。
そのため、すべての事業を再点検し、より効率的・効果的に行う余地がある場合には、スピード感を持って改善に取り組むことを基本として、予算を編成しました。
また、併せて、将来の経費削減など経営基盤の強化につながる可能性のある事業にも着実に取り組むことといたしました。」

厳しい経営環境の中でも、様々な取組や改善にチャレンジしており、この取組は、昨年の第4回定例会で可決した水道利用加入金の市民の負担を減らすといった制度の見直しでも表れていて、加入金制度については、水道局に対し見直しを求めてきたところであり、住宅購入者間の不公平を是正したことは素晴らしい決断であったと評価しています。

一方で、この見直しにより年平均12億円の減収となると説明を受けていましたが、30年度予算案の純利益は、29年度予算の利益68億円に比べ3億円の減に留まる65億円を計上しています。そこで、

(2)予算上、純利益65億円を計上できた理由とその所感について、局長に聞いてみました。

《局長答弁》
「収入面では、過去3年の実績から、12 億円の減を見込んでいた加入金収入が、30 年度は住宅着工の増加から 10 億円の減に留まり、また、水道料金は 29 年度決算見込からは減少しているものの、このところ減少幅が小さくなっていることを踏まえ、対前年度7億円の増を計上しました。一方、支出面では、管路の補修などで修繕費や委託料が6億円増加するものの、人件費や支払利息などの経費削減を行い、総額として 29 年度と同程度に抑えることができました。こうしたことにより、30 年度予算では 65 億円の純利益を計上できましたが、今後の料金収入の減少や更新需要を考えると、次年度以降も厳しい状況が続くものと考えております。」

様々な経営努力により30年度末の累積資金は171億円となる見込みであり、この金額は中期経営計画の財政収支計画に比べ90億円程度上回っている状況ですが、この使い道については、水道利用者である市民の皆さんも気になるところではないかと思います。そこで、

(3)累積資金残額の今後の活用について、局長に聞いてみました。

《局長答弁》
「これまで累積資金残額については、基幹施設や管路の更新・耐震化のため、全額を「建設改良積立金」としてきましたが、今後、西谷浄水場の再整備や相模湖系導水路の改良など 10 年程度で数百億円規模の工事費が必要となります。このため、決算時の利益処分において、従来の建設改良積立金とは別に、西谷浄水場や導水路改良等の個別の積立金を設けるなど、資金の使い道をより明確化する必要があると考えています。」

純利益や累積資金の状況を見ると、水道事業の財政状況は今のところ問題ないと理解しますが、依然として水道料金収入は決算比較では減少傾向にあり、今後、西谷浄水場の再整備や管路等の更新・耐震化など多額の費用が必要とのことですので、中長期的な視点に立ってしっかりとした事業運営に努めてもらうよう、今後もチェックをして参ります。

↓動画はこちらから↓※分かりやすくするため一問一答に編集してあります。

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