横浜ウォーター株式会社の経営基盤強化に向けた取組!

水道局が培ってきた高い技術や豊富なノウハウを活用して、国内外の水道事業の課題解決に貢献するとともに、新たな収益を確保することで水道局の経営基盤の強化を図ることを目的に横浜ウォーター株式会社は設立されました。

平成22年の会社設立から28年度決算まで7期連続の黒字を達成し、昨年の定時株主総会では1000万円の配当を決議するなど、様々な苦労があったと思いますが着実に事業を拡大してきたと私は認識しています。

その一方で、包括外部監査では、「組織及び全般管理」や「損益管理」など、いくつかの項目で指摘を受けています。

その中で、いくつか代表的なものを確認して参ります。

まず、取締役会についてですが、会社法上3か月に1回以上の開催が義務付けられていますが、この要件が満たされていませんでした。

また、事業計画の審議・承認について、取締役会を書面開催とするなど、実質的な審議が十分に行われていないと指摘されています。そこで、

ア 会社の重要な意思決定機関である取締役会の機能強化に向けて今後どのように取り組んでいくのか、局長に伺いました。

《局長答弁》
「昨年の包括外部監査のヒアリングの段階で開催頻度や時期が適切でないという指摘をいただきましたので、早速見直しを図りまして、11 月と 12 月に取締役会を開催し、新規事業や組織体制の強化などについての審議を行いました。また、昨年度は書面決議としておりました事業計画の承認についても、今月中旬には取締役会で審議ができるよう今準備を進めております。今後は、取締役会で審議すべき事項の基準を設けるなどによりまして取締役会の機能強化を図り、拡大していく組織の運営や経営をしっかりと管理できるよう取り組んでまいります。」

意思決定の明確化や内部統制を図るうえで、取締役会の機能強化は非常に重要ですので、十分に議論したうえで取組を進めていくことが必要です。

取締役会の機能強化の項目についてもそうですが、包括外部監査の報告書を読むだけでは、実態や指摘の本質が見えにくい部分もありましたので、私は今回の水道局審査にあたり、横浜ウォーターの本社を訪問し、五十川社長とお話する機会をいただきました。

社長の話や社内の雰囲気から、精一杯の企業努力をしていることが感じ取れました。実際は、横浜ウォーターは、中小企業のひとつであり、何処まで一部上場企業のような管理体制を徹底すべきかといった疑問を感じたのも事実です。

やはり企業において一番重要なのは、人です。現在の社員数は30数名ということですが国内外からの期待に応えていくためには、外部監査の指摘にもあったようにプロパー社員を新たに採用するなど、人員体制の強化が重要です。そこで、

イ 人員体制の強化に向けてどのように取り組んでいくのか、局長に伺いました。

《局長答弁》
「横浜ウォーターでは、事業の拡大にあわせて、営業力や技術力を持つ人材の確保に取り組んできております。29 年度は、プロパー社員を5名採用し、30 年度にはさらに3名が加わる予定で、社員総数は 48 名となり、うち 16 人がプロパー社員となる見込みでございます。こうしたプロパー社員の積極採用にあわせまして、上下水道の知識・経験を有する本市退職者の雇用や現役職員の派遣によりまして、横浜ウォーターが目指す事業展開が可能となるよう支援をしてまいります。」

人員体制・組織体制の在り方は、これからの会社経営にとって非常に重要なポイントであると思います。水道局としても、しっかり支援する必要があります。

その他の指摘では、再委託する際に委託先の実態や体制の詳細について確認していなかった、即ちリスク管理が不十分であるとの指摘を受けています。そこで、

ウ 再委託先のリスク管理への対応について、局長に伺いました。

《局長答弁》
「再委託先の決定にあたりましては、これまでは明確な基準がない中、複数社による見積比較や技術項目を加味した評価、与信審査などを個々の案件ごとに行ってまいりました。今後は、再委託先の実績や履行体制を詳細に把握できるよう審査基準の統一化を図るとともに、経営に大きな影響を与える案件については、取締役会の審議事項とするなど、出資者としてもしっかりと確認をしてまいります。」

再委託先に対するリスク管理は、会社の損失を未然に防ぐためにも重要と考えますので、報告書にもありましたが、水道局は出資者としての視点からも会社の委託契約先についてしっかりと把握していく必要があります。

横浜ウォーターは、水道局100%出資の株式会社である以上、株主である水道局の関わりも欠かせません。そこで、

エ 監査結果を踏まえた経営基盤強化に関する水道局としての考え方について、局長に伺いました。

《局長答弁》
「横浜ウォーターは、設立以来様々な事業を展開いたしまして、着実に売り上げを伸ばしてまいりました。その一方で、急激な事業拡大に伴い、リスク管理や組織統制などにおいて不十分な面があり、今回の包括外部監査では、この点について厳しいご指摘・ご意見をいただいたものと理解しております。今後は会社と局が一体となって、これらのご指摘・ご意見を会社の更なる経営基盤の強化につなげていきたいと考えております。」

今回の包括外部監査の指摘事項への対応については、局としても横浜ウォーターとしっかり連携・協力して改善に取り組み、人材の確保・育成による組織体制の強化など、会社がさらに大きく成長する投資へと繋げていく必要があります。

国内外の水道事業体が抱える課題解決を支援するという公益的役割を担うことが横浜ウォーターの使命でもあり、本市に対する還元であります。

私個人としては、東京都のTSSのように横浜ウォーターもあのくらいの成長を遂げて欲しいと期待をしています。

これまで、包括外部監査において指摘された事項について、水道局の対応、考え方について確認しましたが、申し上げるまでもなく包括外部監査は地方自治法に基づく監査であり、今回の指摘は、水道局だけでなく、本市全体で考えていく必要があります。そこで、

オ 監査結果全体に対する所感について、副市長に伺いました。

《副市長答弁》
「今回の包括外部監査では、水道事業は、おおむね効率的かつ経済的に運営されているとお認めいただきましたが、ご質問にもございました施設規模の適正化など長期的に検討を要するもの、あるいは本市だけでは解決できない大変難しい課題などについてもご意見いただきました。水道局では、加入金の見直しを始め、30 年度予算でも一つひとつ課題に向き合い解決に取り組んでおりますが、歴史ある横浜水道を着実に次の世代に引き継ぐためにも、今回の監査結果をしっかりと受け止め、対応してまいりたいと考えています。」

ぜひ、今回の監査結果を真摯に受け止め、市民に寄り添ったかたちで水道事業の運営に活かしてもらいたいです。

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