仙台視察【仙台市の起業支援の取り組み】

仙台市は、他都市と比べて第3次産業の割合が約88%と多く、中でも卸売・小売りが多いといった特徴があります。また民間事業所における支店の割合が多いのも特徴です。

仙台市では、震災後に企業マインドが大きく変化しました。震災前は、能力を活かしたいといった起業家が多かったのですが、震災後は他人や地域への貢献といった目的で起業する人が増えました。

仙台市は東北各県からの転入者で8割を占めており、東北地方の中心となる都市です。大学入学世代の人口が増大しているのも仙台市の特徴ですが、卒業後の就職先を見ると、学生の9割が宮城県外に就職をしており、東北地方から学生の半数がその他の地域に就職をしています。すなわち仙台で学生を育てて、県外に出している状況となっています。

そういった背景をもとに仙台市は、起業家の裾野を広げる、雇用促進を創出する、社会課題を解決することを目的に起業支援に取り組んでいます。

また仙台市は、平成27年にソーシャルイノベーション創生特区の指定をうけ、震災を経て活発化した女性、若者、シニアが主導するソーシャルイノベーション(社会起業)を推進するため、開業手続きの迅速化を図るとともに、産学連携の下、新たなイノベーションを通じ、被災地からの新しい経済成長のモデル構築を目指しています。

成長支援として、ワークショップや資金調達支援(融資・ファンド他)、東北サポーターネットワーク、先輩起業家メンター事業などを行っており、成長志向の強い起業家の育成として、シードアクセラレーションプログラム(TOHOKU ACCELERATOR)や社会起業家アクセラレーションプログラム(SOCIAL IGNITION Accelerator)を行い、域外からの起業人材の誘致として、TOHOKU IGNITION、東北サポーターネットワーク、スタートアップビザを行い、起業家のすそ野の拡大として、起業家セミナーや起業家交流会、相談窓口、起業ワンストップ相談DAY、SENDAI for Startups、SENDAI Entrepreneur Week、SENDAI Social Innovation Night、小中高生向け起業体験ワークショップ、スタートアップ奨学金などを行い、「Local First」の醸成として、スタートアップ・マルシェ、GREEN LOOP SENDAI、せんだいリノベーションまちづくりを行っています。

SENDAI for Startupsは、起業家応援イベントとして2014年から行われており、起業を啓発・促進し、起業家同士の交流を深めることを目的とし、著名な起業家を基調講演に招き、被災地を中心に活動する起業家や起業家を応援する方々から熱いプレゼンテーションが行われています。2014年には約300名ほどが参加して始まったイベントですが、2016年には約3400名が参加する規模になりました。

 

仙台市の取り組みでは地域の社会課題の解決を目的に取り組んでいて、特色を持つといった観点で横浜においても参考にすべきです。

新たな都市活力を推進するという意味では企業誘致も重要です。横浜においてはI▫TOP横浜やLIP.横浜といった仕組みで取り組んでいますが、仙台市の仙台forスタートアップスように機運を高める取り組みや、インティラック東北イノベーションセンターのように対象者を広げる取り組みも重要です。

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