横浜は全国の自治体の中で一番税収の額が多く、個人市民税がその約半分を占めています。2045年に生産年齢人口が約50万人減少する中、個人市民税を減らさない戦略が重要であり、そのためには働く世代の方々に横浜に住み続けてもらい、他都市からは横浜を選んでもらえるような政策を展開していくことが、中長期的な視点として非常に重要です。
市政運営において将来を見据えて、しっかりしたビジョンを持ちながら進めることが何よりも重要です。そのためには数値に基づき将来予測をロジカルに整理していく必要があります。その際、まず押さえておくべきは人口動向です。
市長はカジノ説明会において、横浜は2019年をピークに人口減少社会が到来し、超高齢社会が進展し、危機的な状況が待っていると言っています。しかし、ほんとにそうでしょうか?日本全体と横浜市を比較すると、2020年と2045年で人口総数は15.1%減りますが、横浜市は7.8%減に留まります。要するに人口減少社会は、出生率、婚姻率、出産率といった日本全体の問題であり、横浜固有の問題ではありません。
また市長は、大阪市・名古屋市と比べて法人市民税(企業が納める税金)の額が著しく少ないからカジノで税収を増やすと言っています。これについても税収全体をきちんと見る必要があります。令和2年度予算で比較すると、税収全体の見込額は横浜市8,461億円、大阪市7,420億円、名古屋市は5,979億円と横浜が税収額全国の市町村1位です。そして横浜の税収の半分(49.4%)4,177億円が個人市民税です。
将来にわたり安定した行政サービスを提供していくためには、企業誘致等、法人市民税を増やす取組も必要ですが、それより何より個人市民税を減らさない戦略が横浜にとって必要であり、そのためには、働く世代の方々に横浜に住み続けてもらい、他都市からは横浜を選んでもらうような政策を展開していくことが、中長期的な視点として非常に重要なのです。
そこで今回の議会では林市長に「働く世代を呼び込み、横浜に住み続けたいと思ってもらえる市政運営が重要との考えに対する市長の見解」を伺いました。
市長は、今後も横浜が成長を続けていくためには、若い世代に横浜を選んでもらい、住んでいただくことが重要との認識のもと、子育て・教育環境を充実させるということ、企業誘致による働く場の創出、緑豊かな環境を整備するなど、市民の皆様の暮らしやすさを更に向上させていくことが必要だという考えを示しました。また、文化・芸術活動の推進による都市の魅力向上など、横浜に住みたいと思っていただけるまちづくりを総合的に進めて行くとの方針を示しました。
それがカジノ誘致やオペラハウス建設なのでしょうか?人口減少社会において転出超過(横浜に越してくる人より、横浜から他都市に引っ越す人が多い状況)は、まさに横浜市の問題なのです。働き盛りの人々に横浜を選んでもらうために今、横浜がやるべきことは、もっと市民の心の豊かさを育む施策に力を入れること。そしてシビックプライドを高めることです。カジノではありません。そういった提言をしながら今回の議会では9項目24問を市長に質問しました。