「敬老パス自己負担ゼロ」を目指す意味とは?

敬老特別乗車証制度、いわゆる敬老パス制度は、高齢者の外出や社会参加を支援し、生きがいある暮らしを送っていただくことを目的とした制度です。

新たな市費負担をどう捉えるのかは、敬老パス制度単体だけで判断するのではなく、より大きな視点で考えるべきです。

高齢者の「外出を促す」「健康寿命を伸ばす」「医療費を減らす」などの効果を鑑みて、高齢者が健康で幸せに暮らし続けるためには、横浜に何が必要かを施策全体の中で考えていく必要があります。そこで、

(1)横浜市の厳しい財政状況の中で、75歳以上の自己負担ゼロを公約に掲げた思いについて、市長に伺いました。

【市長答弁】高齢者の皆様が、いつまでも健康で人生を豊かに過ごしていくためには、積極的に外出し、社会や人と関わる機会を増やしていくことが大切だと考えています。後期高齢者となる75歳以上の方は、運転免許の返上も増える中で、外出支援を充実させることで、お元気に過ごしていただきたいという思いから、公約に掲げました。実現には相応の市費負担が必要となりますので、本市の財政状況を踏まえ、今後、市会の皆様としっかり議論させていただきたいと考えています。

75歳以上の利用者負担の無料化に要する新たな市費負担をどう捉えるのかは、敬老パス制度だけで判断するのではなく、より大きな視点で考えるべきです。

75歳以上の利用者負担が無料になれば、敬老パスの利用が拡大し、高齢者の外出が促進されるとも考えられます。そうすれば、健康寿命の延伸や医療費の削減などの効果が期待できます。

また、敬老パスは現在、持続可能な制度に向けて、利用実態の正確な把握を行うためにIC化を進めています。

IC化により、蓄積されたデータは、医療費データとの連携による、健康効果分析など、様々な活用の可能性が考えられます。そこで、

(2)敬老パスのデータは、制度の検討だけでなく、広く活用すべきだと考えますが、市長の見解を伺います。

【市長答弁】IC化により、利用者別の利用回数や利用場所、交通機関別の利用状況などのデータが取得可能になります。これまで、年1回の利用実態調査や利用者アンケートから利用実績を推計していましたが、まずはIC化により正確な利用実績を取得し、敬老パス制度の持続可能な制度設計に向けた検討と議論を行います。その上で、取得したデータの活用方法等を検討してまいります。

広い意味で市費負担の効果を検証し、根拠に基づいた政策決定を行うことに期待します。

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