下水道施設の津波・浸水対策はどうなってるの?

東日本大震災では、東北地方の多くの下水処理場が津波による被害を受け、下水道機能が失われました。

下水道施設には、ポンプや発電機など多くの設備が設置されていて、ひとたび、津波よる被害を受けた場合には、これらの設備が浸水して下水の排水機能や処理機能が停止し、市民生活に甚大な影響を及ぼします。

平成30年度の予算審査では、「下水道施設における津波対策」について質問し、津波が発生した場合に浸水の可能性がある沿岸部の下水道施設について、対策を講じていくことを確認しています。

鶴見区は、津波の浸水域となっていて、その中には下水道施設をはじめ、地域防災拠点や防災備蓄庫、ごみの焼却施設なども含まれています。他局の審査においても、ひとつひとつ確認をしているところですが、東日本大震災から10年以上が経過した今、万が一の津波発生時にも、下水道施設が一定の機能を確保できるような、津波対策の進捗状況が確認しておきます。そこで、

 

(1)下水道施設における津波対策の進捗状況について、下水道施設部長に伺いました。

 

【部長答弁】これまで、沿岸部の5つの水再生センターを対象に、重要な設備が被害を受けないように、建物内への浸水を防止するための防水扉の設置や、発電設備などの高所への移設に必要な新たな発電機棟の整備を進めてきています。具体的には、令和2年度に、中部水再生センターで発電機棟などに防水扉の設置が完了しました。3年度は、北部第二、金沢水再生センターで新たな発電機棟の整備を進めています。さらに、4年度の工事着手に向け、神奈川水再生センターにおいても、設計を進めています。

 

私の地元鶴見では、津波の浸水に加え、鶴見川の氾濫といった洪水の可能性もあり、どの状況で、どの程度の被害を受けるのか?鶴見区民の皆さんは心配するとともに混乱しています。

これは鶴見川周辺の内水ハザードマップなのですが、1時間に153mmの降雨を想定したものです。

こちらは洪水ハザードマップで2日間で約792mmの降雨を想定したものです。

行政の皆さんは、この位置付けや、条件等は理解していると思いますが、鶴見区民の皆さんは、なぜ2つのマップがあるのか?どっちを見たらいいの?といった疑問だらけです。

近年、気候変動の影響により、全国各地で記録的な豪雨が頻発しています。令和元年に発生した、長野県の河川氾濫により、下水処理場を含め壊滅的な被害を受けたことは記憶に新しいところです。

これを受けて、河川氾濫等を想定した下水道施設の耐水化計画を策定し、対策を講じるよう、令和2年に国から通知が出された訳ですが、今の本市の検討状況を市民の皆さんにも分かるように説明して頂きたいと思います。そこで、

 

(2)耐水化計画策定に向けた進捗状況について、下水道施設部長に伺いました。

 

【部長答弁】令和2年に耐水化計画の策定に着手し、津波における被害想定に加え、河川氾濫や内水氾濫における各施設の被害想定をもとにした対策の検討を進めてきています。現在、各施設の構造や重要設備の配置状況、被災した際の影響度を踏まえた優先度判定を進めており、今年度中に耐水化計画を策定します。

 

以前にも誤解で検討状況について質問した時の局長は、「設備の更新、あるいは施設の改築にあわせて対策を検討してまいります。」ってお答えになっています。言い換えると、そのタイミングじゃないと抜本的な対策ができない部分もあるってことなのです。

地球温暖化で激甚化する豪雨災害等に備えるためは、長い時間を掛けて恒久的な対策をするだけでなく、応急的な対策や、被害を受けた後の早急な復旧計画といったことも考えておかなければなりません。そこで、

 

(3)耐水化事業の今後の方向性について、局長に伺いました。

 

【局長答弁】下水道施設が被災した際に、下水道が利用できなくなるなど影響を受ける世帯数や、応急復旧の難易度などを点数化し、優先度を考慮したうえで、概ね5年程度で排水機能、概(おおむ)ね10年程度で水(みず)処理機能が確保できるよう、水再生センター等の耐水化事業を進めていきます。また、短期的に取り組むものもありますが、設備の移設など大規模なものも関わっていきますので、今後、再構築を実施していく水再生センターにおいては、耐水化対策も取り入れて総合的に進めていきます。

 

市民の皆さんに対し、100%完璧な対策は難しいといったことや、リスクヘッジをどのように考えているかなど、理解をして頂くことが何よりも重要です。今回は下水道施設を例に質問をしましたが、何れにしても災害が発生した時に、公助に限界があるのは事実です。自助・共助の中でどこまで想定し、どこまでの準備を日ごろからしておくべきか?市民の皆さんに理解をして頂くことが重要です。

実効性の高い耐水化計画を策定し、着実に耐水化事業を進めていくことだけではなく、市民の皆さんとどのように共有していくかも考えて頂くことが重要です。

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