施策推進と財政健全性の両立ってどうするの?

ここ1年を振り返りますと、山中市長の公約実現について財源をどうするのか?と言った議会での指摘から始まり、その後「財政ビジョン」を議決し、今回の中期計画の策定に至った訳ですが、そこで、あらためて確認しますが、

(1)財政ビジョンと中期計画との関係について、伊地知副市長に伺いました。

《伊地知副市長答弁》

財政ビジョンは、持続可能な市政運営を進めていくための、中長期の財政方針として策定しましたが、この財政ビジョン等を踏まえた中期計画では、「共にめざす都市像」の実現に向け、予算を固定せず、中期的な施策の方向性や指標を定めるものとしています。併せて、「財政運営」の項目では、財政ビジョンの将来アクションで掲げた債務管理や収支差解消など、中長期のベンチマーク実現に向け、計画期間で実行していく具体的な取組をお示ししています。また、併せて「行政運営」の項目では、総人件費の抑制や行政サービスの最適化に向けた歳出改革の推進を掲げ、これら財政と行政運営が一体的に取り組むことで、中期計画による施策の推進と財政の健全性の維持の両立に取り組む計画としています。

山中市長も、市政運営をして1年が経ち、全国一の規模を誇る横浜市でも、大変厳しい財政状況であることを十分に理解されたと思います。

政策に充てる予算がどれだけあるかが将来、横浜の魅力づくりに重要な要素ですが、だからと言って借金を増やして将来の世代に、市債の償還義務だけを負わす訳にもいきません。そこで、

(2)中期計画では、財政ビジョンに掲げた目標達成に向け、具体的にどう取り組むのか、山中市長に伺いました。

《市長答弁》

中期計画では、例えば、債務管理において、借入金残高の縮減や市債活用額の水準について、目標を設定するとともに、投資事業の全体最適化という観点で、計画的・戦略的な投資管理に取り組みます。また、2030年度の収支差解消というベンチマークの実現に向け、全庁一丸となった歳出改革により財源確保を行い、減債基金の臨時的活用額の段階的な縮減に取り組みます。

施策の推進と財政の健全性の維持を両立させるための取組は、一部の優秀な職員が考えればできるというものではなく、我々議員ももちろんのこと、職員一人ひとりがこれまでの意識を変えていくことが大切だと思います。そこで、

(3)職員の意識改革をどのように進めていくのか、山中市長に伺いました。

《市長答弁》

大きな時代の転換期には、「全体最適」を重視して改革に取り組む必要があります。市の組織や職員自身が変わっていくことの必要性を、改めて私からもお伝えして徹底していくとともに、歳出改革の旗振り役である総務局が様々な機会を捉えて、全職員が自分事となるように、今周知に努めているところでございます。これまでもそういった取組はやってきたことに、私の就任前にもそういった取組はやってきたことにはなっていますが、しかしながら改めて総務局と議論をし、各局と議論をし、必ずしも全職員が自分事となるように歳出改革を意識してきたかというと必ずしもそうではないと思います。ですので、我々といたしましては、私をはじめ幹部層としては、民間企業の改革の好事例、そういったことも学びながら、今後、いわゆる経営責任職、部長以上の経営責任職が改革の「リーダー」として機能していくこと、そして運営責任職、課長・係長の運営責任職が改革の「実践者」たり得ること、そういったことで従来から申し上げている「創造・転換」の取組を真に推し進めていく必要があると思います。併せて、先ほどの山下先生の御質問にも関連しますが、若手職員がやる気になる、そういった意識改革も、大きなプロジェクトとして取り組んで、きちんとチャレンジする仕組みを様々作っていきたいと考えております。

人口増加と経済発展する時代の行政運営・発想から抜け出せずにいる年配の幹部職員がネックであるとの説もありますが、財源には限りがあり、中期計画でも1,000億円の収支不足(中期計画P193)が見込まれています。そこで、

(4)多額の収支不足が見込まれる中で、どのように施策を推進していくのか、山中市長に伺いました。

《市長答弁》

これまでの議会等でも答弁していますが、今回の中期計画でお示しした収支不足額は、過去の中期計画や毎年度当初予算で公表している見通し等と比較しても、対応できる範囲内です。一方で、減債基金の活用を減らしていく、そういったことを徐々に進めていかなければならないので、それらを同時並行で今後進めていきます。より効果的・効率的な施策・事業への新陳代謝を図ること、これをきちんと進めて、中期計画に掲げた施策を推進していきます。

施策の推進と財政の健全性維持は、正に市政運営の両輪です。財源の確保が無ければ、山中市長の政策を推し進めることはできません。

その財源の確保にも様々な方法がありますが、先ずは支出を抑えるといった観点で見ると、扶助費・公債費・人件費といった義務的経費はこれ以上コントロールするのは難しいけれど、第四の義務的経費とも言える公共施設の保全更新費(中期計画P140)、年間平均額1,168億円と試算されていますが、ここは工夫の余地があると思っています。

この記事を書いた人