大分視察(iichiko総合文化センター編)

新市庁舎に関する調査特別委員会の視察で大分に行ってきました。

今回の目的は、市庁舎建設に関する事業と計画の手法についてです。

OASISひろば21は大分市の中心部にあり、

iichiko総合文化センターとNHK大分放送局、

オアシスタワーホテル、テナント店舗からなる複合施設で、

iichiko総合文化センターには大ホールと中ホールを中心に練習室等の貸室を備えています。

名称の頭にiichikoと付くのは、このホールをネーミングライツしているからです。

これにより県は年間5250万円の収益があり、

この財源をもとに市民還元できるホールイベントを開催しているそうです。

この敷地は県立病院の跡地で、

平成4年に跡地利活用の検討委員会が設置され

ホールと商業施設をつくろうということになり、

平成10年に複合施設としてオープンしました。

もともと県の土地でしたが、

NHKが他の土地と等価交換して

土地は、県とNHKの共同所有となりました。

そして、その上に一旦民間企業が上物を建設して、

完成後に県とNHKが所有部分を買い取る

というスキームで事業が進められました。

そのため建物の所有は県とNHKと民間企業の3者となっています。

そしてオープン後は施設全体を民間企業が運営をして、

総合文化センターの部分も民間企業が指定管理を受けています。

基本構想の中で整備及び運営の手法として

事業化にあたっては民間活力を最大限活用できる事業手法を検討すべきと示されており、

この考えを基本に事業提案コンペの募集要綱に

施設の建設、経営にあたる事業主は民間企業が望ましいと記載されました。

横浜の新市庁舎建設の場合、

横浜市が事業主として建設・運営をすることが基本となっています。

従って2万m2の余剰床についても横浜市が運営を行い、

運営上のリスクも横浜市が負うことになります。

この部分は一長一短でテナント賃料収入を維持管理費に補填するという考えもありますし、

2万m2もの余剰床をつくるイニシャルコストを賃料で回収して更に維持管理費に充てるには、

長きにわたり安定した賃料収入が必要で大きなリスクを負うという考えもあります。

少なくとも建設に関する事業主は民間の方が合理的であり、

その後の運営主体に関しては、将来起こりうる状況を検討した上で

どのようなスキームで行うべきかを十分に検討する必要があります。

現在、このOASISひろば21は、オープンして20年以上が経ち

大規模改修が必要な時期となりました。

現在、改修計画を検討中とのことでしたが、

県とNHKと民間企業の3者が建物を共同所有していることに

問題が生じているようです。

民間企業の場合、修繕費の平準化を図るために

設備機器をリースする等の工夫をしますが、

3者所有の場合、リース契約が出来ない等の問題や、

行政は単年度会計での予算取りのために長期計画を立てにくい等の課題もあるようです。

このような状況も鑑みながら横浜においてどのようなスキームで

事業を進めるべきかを検討しなければなりませんが、

横浜市会では本年度あと2回の委員会開催で

基本計画をまとめようとしています。

更に市長は先日の会合挨拶で

オリンピック開催までには新市庁舎を完成させたいと

計画の前倒しの考えを示しました。

横浜の将来に大きな影響を及ぼす新市庁舎建設事業は、

もっと時間を掛けて詳細な検討をした上で事業を進めるべきと考えています。

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