脳血管医療センターは平成3年に基本構想が策定され、
当時、死亡原因の第3位、要介護となる原因の第1位だった脳卒中に対して、
救急から回復期まで一貫した医療を行うという、
まさに脳卒中に特化した病院を横浜市として先駆的に整備したものでした。
当時は、日本全国から注目と期待を集めていたと聞いています。
しかし、その後の国の医療制度は、「効率的な医療提供体制」をめざし、
医療機関の役割分担と連携を推進する方向となり、
「急性期から回復期まで一貫した医療」というコンセプトが経営としては厳しさを増してきました。
さらに、脳卒中の救急医療は、治療を始めるまでの時間が重要であり、
横浜市も円滑かつ迅速な救急搬送を目指して、「脳血管救急医療体制」を整備しました。
このようにして、脳卒中の救急を担う病院が増えてきたことは、市民にとってはより早く治療を受けられるわけですが、
脳血管医療センターにとっては、診療圏の縮小という影響を受けることになります。
こうした結果、現在の脳血管医療センターは、患者数や収益性が、
施設規模や人員配置といったイニシャルコスト、ランニングコストに見合っていないという経営課題を抱えていると思います。
いわゆる過剰設備の状況になってしまった訳です。
そこで、当局は、過剰な経営資源の有効活用を図ろうと、脊椎脊髄外科などへ診療領域を拡大し、経営改善を目指しています。
しかし、そもそも、市立病院の医療機能は、「既存の医療資源の活用」という視点で決めるべきではなく、
市立病院の担うべき役割や、市民の医療ニーズといった点を考慮して選択されるべきではないでしょうか。そこで、
(1) 市立病院の役割はどのようなものと考えているのか、局長に伺いました。
民間病院がない医療過疎地では、公立病院の存在意義は分かりやすいのですが、横浜は違います。
周囲に多くの公的・民間病院がある中、利益が出れば、民間が参入するはずですし、民間がやらないような医療をやれば、採算がとれません。
市立病院の担うべき医療を考えると、こうした矛盾に突き当たってしまいます。
そうした中で、経営改善のために脳血管医療センターは、脊椎脊髄疾患に診療領域を拡大しましたが、
脊椎脊髄疾患を始めるにあたっては、多額の投資を行っています。
果たして本当に経営改善につながるのか、新たな過剰投資にならないか確認したいところです。そこで、
(2) 脊椎脊髄外科への診療領域拡大に伴う収益はどれくらいで、それに伴うイニシャル・ランニングコストは何年で回収できる見込みなのか、局長に伺いました。
脊椎脊髄外科が、採算性が高いのなら、民間病院も参入してくることは十分に考えられます。
そうなると民間病院と患者を奪い合うこととなり、将来的には、患者数が減少するようなことも懸念されます。そこで、
(3) 現時点では、将来的な患者数見込みをどう考えているのか、局長に伺いました。
脊椎脊髄外科が将来的にも患者が確保できる見込みだとしても、脳血管医療センター自体のケタ違いの負債を抱えている状況を鑑みると、先行きが不安になります。そこで、
(4) 仮に民間の医療提供体制が整った際には、改めて医療機能を見直すべきと考えますが、局長の見解を伺いました。
外郭団体でも、設立当時は民間を先導する意義があったものが、民間が育った今も、
「いまさら止めることができない」、といって、市からの支援のもとで続けているという状況が見られます。
役割を終えたら見直しを図らなければなりません。
脳血管医療センターも、市民の医療ニーズや民間病院の状況を的確に把握して、常に求められる医療、必要とされる医療へと見直しを図ることを要望しました。
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