空家条例で本質的な対応を進めて欲しい!

※2021年2月に横浜市議会、本会議の現年度議案の質疑で有村としひこ議員(鶴見区選出)が質問をした内容です。

本市では、平成28年に横浜市空家 等対策計画を策定し、4つの具体的な施策によって総合的な空家等 対策を進めています。平成31年2月に改定した第2期計画では、管理不全な空家への、指導等の強化を定め、それまでは3年間で特定空家等に認定した件数が累計11件だったものが、その後大きく進み令和3年1月末時点では、累計226件に達しました。また、特定空家等にならずとも、管理不全状態に陥る、潜在的な空家が数多く存在している現状も、大きな課題だと認識しています。

本市でも、指導強化や支援など、様々な取組を進めてはいるものの、地域の方からは、建物の老朽化や樹木の繁茂などの管理不全な状態がなかなか改善されない、といったご相談を多く受けています。そこで、行政が、実効性を伴うツールを持って、今以上に地域の空家の課題解決のために、一歩踏み出していく必要があると考えています。そこで改めて、

(1)管理不全な空家に対する、本市の果たすべき役割について市長に伺いました。

《市長答弁》【今後も空家の増加が想定されますので、将来にわたって地域の生活環境が保全されるように、所有者の皆様に適切な管理を強くお願いします。そのため、所有者の皆様への支援など、自主改善を促す取組を着実に進めるとともに、自主改善が進まない場合には、法や条例に基づく指導や措置を適切に講じます。】

空家に関する様々な問題を解決するために、区役所による働きかけや、空家法に基づく指導も有効ではありますが、そもそも、所有者自身が管理を怠らなければ、こうした問題は起きません。

空家の所有者は、その場に住んでおらず、空家の状態や地域への悪影響について把握していない傾向がありますので、空家の所有者に対しては、より一層、踏み込んだ対応で、自主的な改善を促していくべきと考えます。そこで今回の条例に盛り込まれる

(2)所有者の責務の義務化や標識設置の効果について副市長に伺いました。

《副市長答弁》【所有者による適切な管理を努力規定から義務とすることで、指導を通じて、所有者の当事者意識を高めます。また、現地への標識設置は、危険を周知する効果に加え、自分の所有物が地域の問題になっていることが公になる仕組みでもあり、自主改善の動機付けになると考えています。】

国の住宅・土地統計調査によると、空き家自体の総戸数は、平成25年調査の17万8,050戸から、平成30年調査では、17万8,300戸と、ほぼ横ばいですが、高齢者のみ世帯が住む、戸建持ち家戸数は、平成25年調査の14万7,970戸から、平成30年調査では、17万8,800戸へと、5年間で約3万戸増加しています。このような高齢者が住む建物は、福祉施設に入所されたことがきっかけとなったり、またその後、建物を相続したものの様々な事情により住居として使用されないまま放置されて管理不全に陥ってしまうケースも多くあり、今後は行政として、空家になる前や、仮に空家になっても、なるべく早い段階で、活用などができるよう、空家の所有者等に対し、課題を解決する支援を講じていくことが重要と考えます。そこで、

(3)空家の活用促進の今後の取組について副市長に伺いました。

《副市長答弁》【地域の交流施設などへの転用が進むよう、空家の所有者と借りたい方へのマッチング、専門家による賃貸借契約等のアドバイス、リフォーム費用の補助を新たに行う予定です。これらを通じて、空家を貸したい方と借りたい方の様々なニーズに丁寧に対応しながら、活用を促進していきます。】

管理不全な空家等への対策については、今回の条例の制定によって、前進することを期待するとともに、地域の価値を高めるような流通・活用策についても、しっかりと支援し、管理不全に至る前の段階から、計画的かつ総合的に対策を推進していただくことを期待します。

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