減っていく財政調整基金が大問題!

※2021年2月に横浜市議会、本会議の現年度議案の質疑で有村としひこ議員(鶴見区選出)が質問をした内容です。

本市では例年、2月補正において減額補正等を実施し、捻出された一般財源を財政調整基金に一時的に積み立てた上で、次年度の当初予算の財源として活用する、といったテクニックを使っており、いわゆる「財源の年度間調整」を行っています。今回の2月補正では、その年度間調整として財政調整基金 積立金を54億円していますが、昨年度は5億円だったため、増額したことになります。そこで、

ア 年度間調整額54億円の捻出方法について、副市長に伺いました。

《副市長答弁》【令和2年度の事業執行に臨むに当たり、4月、5月の2度、副市長通知を発出し、コロナ禍において危機的状況にあることや最大限の財源確保の必要性を庁内で共有してきました。このような認識の下に、事業の優先順位や状況を見極め、事業の中止・延期・縮小、事業手法の転換など、効率的・効果的な執行に取り組み、54億円の年度間調整額を捻出いたしました。】

一般的には、財政調整基金は「経済事情の変動等により、財源が著しく不足する場合に財源不足を補ったり、災害が発生した時に直ぐに対応するための貯金」という意味で理解しており、本市のHPにおいても財政広報のマスコット「エビちゃん」が同様の解説をしています。しかし、今お聞きした54億円は貯金の積立額ではありません。

では本来の目的の貯金額は、どのような状況にあるのかと言うと、財政調整基金の実質的な残高は、平成30年に129億円ありましたが、令和元年には一般会計予算の補填に使われて74億円となり、今年度末は、更に減って約59億円となる見込みです。そして来年度は実質、積み立てはせず59億円の同額を予定しています。本市では過去にも、横浜博Y150の赤字補てんに、この財政調整基金が使われました。

まさに今のコロナ禍において、多くの自治体が財政調整基金を取り崩し、感染症対策等に取り組んでいます。それだけではなく、頻発する自然災害なども含めて、新たな脅威(きょうい)が発生する可能性もあります。そうしたことに備えるためにも、本来の目的に沿った、一定程度の基金の積立が必要です。そこで

イ 財政調整基金残高の適正規模の考え方について、市長に伺いました。

《市長答弁》【地方財政制度上、基金残高に関する明確な基準は無く、基金の積立は各自治体の裁量に委ねられています。本市の財政規模や、リスクへの対応などを考えると、機動性や弾力性といった観点から、その額は一定程度、必要だと認識しています。持続可能な財政運営の視点も含め、検討していく必要があると考えます。】

本市における過去の財政調整基金の使われ方は、ご家庭で例えるなら「冷蔵庫や洗濯機も新しくしたいし、遊園地やキャンプにも行きたいけど、お父さんの給料が下がっちゃったから貯金を100万円おろして使っちゃおう」というような印象で本市を見る市民の方も居るかもしれません。だからこそ、基金の在り方については、分かりやすく伝えると共に、しっかりと優先順位をつけて使っていくことをお願いしました。

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