道路構造条例の改正は絶好のチャンスなのです!

※2021年2月に横浜市議会、本会議の現年度議案の質疑で有村としひこ議員(鶴見区選出)が質問をした内容です。

今回の条例改正の大きな意味と、その可能性について、行政内部でも気づいていない方が多いので、ここは丁寧に説明していきたいと思います。

今回の条例改正で私が着目しているのは、主な3つの規定のうち「自転車の通行空間」と「歩行者利便 増進道路」の2つです。

先ず「自転車の通行空間」についてですが、公共交通機関が充実していない、郊外部の生活の足として自転車は、重要な役割を担っていると共に、昨今のコロナ禍においては、密を避ける動きが広がる中、電車やバスに代わる移動手段として、自転車が見直されています。

市民の生活の様々な場面で利用されている自転車ですが、自転車に乗る方のみならず、歩行者にとっても安全に通行できる空間の整備が不十分だと感じています。

今回の改正条例では、自転車通行帯の規定が新設されるとともに、自転車の設置要件が追加されています。この改正を一つの契機として、安全で快適な自転車の利用環境の確保がさらに促進されることを大いに期待しています。そこで、

(1)自転車通行空間の整備に向けた、今後の考え方について副市長に伺いました。

《副市長答弁》【自転車は、環境にやさしい身近な交通手段であることから、これまでも自転車通行空間の整備を進めてきました。引き続き、環状4号線などの自転車ネットワーク路線と、鶴見駅や戸塚駅周辺など市内4か所の重点エリアを中心に、関係機関とより一層連携し、整備を推進してまいります。】

次に2つ目の「歩行者利便 増進道路」ですが、今回の条例改正の一番の目玉とも言えます。この制度の1つ目のポイントは、歩行者の利便性向上に活用すべき路線の区域を指定することにより、これまでは、やむを得ない場合でないと認められなかった、食事施設や広告塔などの占用物件が、設置できるようになるものです。これだけを聞くと何だか意味が分かり難いので、もう少し背景を補足します。

道路法では「道路は交通のために供する」とあるように、道路を歩行者中心とする位置づけを法律に組み込むことは、法律の建て付け的に非常に難しい状況がありましたが、今回の条例改正により指定道路では、歩行者の滞留(アクティビティ)が正式に位置付けられることになりました。国は数年前より公共空間の活用を自治体に推進しており、その第一弾が公園の活用といったPark-PFI。そして次に公共空間の1つでもある道路にも活用するよう目を付けたのです。そして国土交通省は「歩行者利便 増進道路」を2025年度末までに概ね50区間指定すると目標に掲げています。

もうひとつのポイントは占用できる期間です。これまで5年以内と定められていたものが、公募占用制度により最長で20年になります。これは、どういう意味があるのか?と言うと、道路上に、例えばテラス付きの飲食店のような、初期投資の高い施設であっても、占用期間が伸びることにより事業性が見え、参入しやすくなるなど、民間の創意工夫を活用した、新たな空間づくりが、実現しやすくなるとうことです。今までは「道路協力団体」の公募は行われていましたが、この公募占用制度により「道路占用主体」が公募できるようになります。要するに、これまでにない柔軟な道路づくりが可能となる、非常に楽しみな制度なのです。そこで私の熱心な説明も踏まえ、

(2)歩行者 利便 増進道路制度に対する認識について市長に伺いました。

《市長答弁》【この制度は、民間の活力や創意工夫により、憩いや賑わい空間を創出するなど、道路に新たな付加価値を生み出すことができる制度です。この制度の活用により、まちの活性化や魅力あるまちづくりに寄与するものと認識しています。】

先ほども述べたように、すでに公園などの公共空間では、本市においてもPark-PFIといった民間の活力を使った取り組みが進められていますが、道路では、これまで、様々な制約があり、道路空間の利活用が十分にできませんでした。

歩行者 利便 増進道路制度の創設により、いよいよ道路でも民間の活力を使った取組みが進められるようになり、今後の本市の受け止め次第で街の姿が大きく変わっていきます。そこで、

(3)歩道を、通行空間以外にも積極的に活用していくべきと考えますが市長の見解を伺いました。

《市長答弁》【幅員などの道路構造や沿道の方々との合意形成などの課題がありますが、オープンテラスの設置など、民間発意の新しい提案などを踏まえながら、賑わいのあるまちづくりに向けて取り組んでいきます。】

歩行者利便増進道路では、占用者に日常的な道路の点検や清掃などの協力をいただくと共に、一定の道路占用料を納めていただくことになり、この制度が活用されていくことは、道路の維持管理費の低減、更には新たな財源確保にも繋がります。道路局は、ここ数年、積極的に本市の保有財産を活用して、行政自らお金を稼ぐ取り組みを推し進めて、成果を上げています。引き続き、横浜市のプライドとして、この条例改正の本質的な意味を理解し、他都市に先駆け、先進的な成功事例をつくっていくことに期待をします。

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