タイムズスクエアのBIDを分かりやすく説明すると!

2001年からNYのタイムズスクエアは、BID(Business Improvement District)によって、公共空間の改善や活用についての取り組みを進めてきました。民間の行動と、行政の行動が合わさることによって、タイムズスクエアの公共空間の活用の社会実験につながりました。

 社会実験の結果、歩行者と自動車の接触件数が63%減少、歩行者の怪我が35%減少、タイムズスクエアの歩行者数が11%増加、人々の滞在時間が84%増加、といった効果が検証されました。こうした成果から、公共空間活用の恒久化が進んでいきました。タイムズスクエアのBIDは「Times Square Alliance(TSA)」という名称。TSAの収益は、地域の地権者に課せられる評価税が約54%(2015年度)で、その他は寄付やスポンサー収入、プログラム収入からなっていて、政府からの補助金はわずかとなっています。

 広場化した後、より多くの人で賑わう場所となったタイムズスクエアですが、そのほとんどが観光客。地元の方からは、市民が楽しめない場所となってしまっていることを問題視する意見もあるそうです。一方では、そうした観光客が大勢来ることで、地域経済の活性化につながっていることから、好意的に評価する意見もあります。

 「誰のための街なのか、誰のための公共空間なのか」を追求してきたのが、ブルームバーグ市政下のNY市でした。そこで重視されたのが、何よりも「人」です。車のための街路ではなく、人のための街路へ。既に出来上がっている道路と、その使い方を抜本的に変えたのが、ブロードウェイの広場化です。新たな取り組みを行なうにあたり、調査研究を重ね、社会実験を経て、成果を数値化しながら、恒久化していく。手間も、時間もかかりますが、その取り組みは広場にすることだけが目的ではなく、新たな価値を創造し、NY市の魅力を更に高め、一層成長させていこうとするビジョンがあってこその取り組みです。

最後に、申し述べておきますが、海外の事例をそのまま横浜に落とし込み、真似をすれば良いということではありません。

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