閉館しちゃった横浜水道記念館はどうなるの?

西谷浄水場にあった、昭和62年に近代水道創設100年を記念に開設された「横浜水道記念館」と「水道技術資料館」は、施設の老朽化と西谷浄水場再整備事業に伴い閉館されてしまい、市民の皆さんをはじめ、私もとても淋しく思っています。

横浜水道記念館の敷地内にある「いこいの広場」についても、地域の方々の散歩コースとして、春は桜を楽しんだり、夏は子ども達の水遊び場として噴水池で遊んだりしていて、横浜水道をより身近に感じる場として、大変親しまれた場所でした。

また「横浜水道記念館」は、小学生の社会科見学の一環として、学習的機能も担っていて、小学生から大人まで多くの方が、この施設を訪問していたのではないかと思います。

ですが闇雲に、必要だから残せというには、乱暴な話ですので、ひとつひとつ確認をしながらに整理していきたいと思います。そこで先ず、

(1) 横浜水道記念館の直近5か年の来場者数について、浄水部長に伺いました。

<答 弁>平成29年度と30年度は、年間約2万人の来場者がありました。そのうち、約5,000人は小学校の児童が浄水場見学の際に訪れました。しかし、令和元年度以降は新型コロナウイルス感染症の影響で、浄水場施設見学や敷地の開放を一時取り止めたことなどから、元年度は約1万4,000人、2年度は約6,000人と減少し、3年度は約2,000人にとどまりました。

新型コロナウイルス感染症が拡大する前は、多くの方が訪れている施設であっただけに、地域の方々からも、「横浜水道記念館」の閉館を惜しむ声が出ています。

私も、横浜水道の歴史をしっかりと後世に伝えることは大切なことだと思いますし、水道事業の取組をより多くの方に知っていただきたいと思っていますが、今後、より厳しくなる財政状況の中、新たにハコモノを建設して、維持管理していくのがベストなのか?は良く考えていかなければならないと思います。そこで、

(2) 閉館前の横浜水道記念館の直近5か年のランニングコストについて、浄水部長に伺いました。

<答 弁>直近5か年の1年当たりの平均コストは、施設の保守点検や展示物の補修、電気料金などの事務所経費として約1,500万円、展示内容の解説業務や水道記念館の運営管理などの人件費として約3,000万円、合わせて約4,500万円となりました。

  公益的役割とお金(財源)は、セットで考えなければならない訳で、お金の部分も市民の皆さんとしっかり共有していく必要があります。

ハードを整備するにしても、建設費・維持管理費含めて公民連携によって、自主財源を抑える工夫も出来るかも知れません。

水道局自ら、もっと知恵を出して、横浜水道の歴史や水道技術を伝える機能を、何らかの形で残していく必要があると思います。そこで、

(3) 閉館した横浜水道記念館の今後の方向性について、局長に伺いました。

<答 弁>新たな施設を整備する場合、委員からご指摘もありましたように、多額の経費を必要とすることから、社会情勢や水道事業を取り巻く環境の変化等を踏まえ、整備する・しないも含めて慎重な検討が必要だと認識しています。現在、記念館の展示資料を活用しまして、横浜水道の歴史を紹介する広報動画を制作しております。来年度以降、施設見学時やYouTubeなどで多くの方に御覧いただき、市民の皆様に近代水道発祥の地である横浜水道のこれまでの取組をしっかりと伝えていきたいと思います。

今の時代は、ユニバーサルの観点からも施設を訪れることが出来ない方々も含め、こうした機能は、ハードで継承していくもの、ソフトで伝えていくものを整理し、誰もが横浜水道の歴史や技術を知ることができる伝え方を考えていかなければなりません。そうした意味からも私が申し上げた提言をしっかり受け止めて頂きたいと思います。

それで、もうひとつの問題意識ですが、「横浜水道記念館」は、昭和28年に洋風に建設した事務所を、昭和61年に改修して記念館にした建物で、横浜の歴史や、横浜らしさを伝えている建物です。

老朽化しているということで、西谷浄水場再整備事業に併せて安易に取り壊すことを決定しましたが、もう少し頑張って保存しておけば、横浜の歴史を物語る建物として価値が高まると思っています。

また、西谷浄水場内には「横浜水道記念館」だけではなく、歴史を感じるレンガ造りの建物が点在しています。これらは、大正時代に当時の緩速(かんそく)ろ過池などで使用されていたレンガ造りの貴重な建屋6棟で、国の有形文化財にも登録されています。まさに、横浜水道の歴史を物語る施設の一部だと思います。こうした歴史的な建造物は、安易に解体するのではなく、一度立ち止まって、保存する検討が必要なのです。そこで、

(4) 再整備事業における歴史的建造物の保存の考えについて、局長に伺いました。

<答 弁>歴史的建造物は、再整備事業の工事で支障となりますが、横浜水道の歴史を継承する遺構を後世に引き継いでいくため、移築により、適切に保存してまいります。なお、移築に当たりましては、有識者や文化庁の助言を参考に、建造物を補強するとともに、歴史的な価値を損なわないよう現在の位置関係や、景観、市民の皆様への公開性に配慮してまいります。

横浜水道の歴史の継承についても、しっかりと受け止めて考えていることが確認できて良かったです。横浜水道の歴史は中途半端に更新して無くしてしまうのではなく、戦略的に適切に保存していただくことを要望しました。

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