横浜の市営住宅の課題!

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前回の続きですが、
横浜市は市営住宅についての管理戸数は現状維持を続けていくとの考えです。
すなわち3万1400戸を維持していく考えです。
老朽化している住宅も増えていますが、
建て替えより既存住宅を維持管理していくほうが安いと判断しているので、
現在のすがたかたちのまま残し続けるということです。

市営住宅は、今後単身のニーズが増えていくので、
単身者向けの間取りを増やさなければならないのですが、
現状では難しいということになります。

しかし、実際は交通局が保有して独身寮がいくつかあり、
全て28年度で廃止することとなっているので、
市営住宅として用途を変更して使用することは物理的に可能です。
老朽化した世帯向住宅を廃止して交通局独身寮を単身向市営住宅として使用すれば、
全体の管理戸数を変えることなく、且つ大きな財政負担もなく
単身向の市営住宅の割合を増やすことが可能だと思います。

このような隠れ資産(使っていない職員住宅や独身寮)は、まだまだあるかも知れません。
限定された範囲で議論するのではなく、全庁的な目で考えていくことが重要です。

もっと広い意味で住宅のセーフティネットを考えるのなら、
横浜だけで考える必要はなく、県営住宅や公社賃貸住宅、UR賃貸住宅、家賃補助付き住宅等を含めて、
世の中全体の公共的な住宅供給のあり方を議論する必要があります。
この議論が全体でできないから横浜市は管理戸数を現状維持と言うしかないのです。

更には、こういった市営住宅の応募が20倍程あるのに
地域を見回すと空き家が増加していることが目につきます。
本来は、こういった空き家を市営住宅として活用していく必要があるのですが、
公的住宅として認めるには一定の基準を満たすことを前提としており、
本来、市場で流通しにくい空き家は、この基準を満たせない状況にあります。

例えば、旧耐震の空き家は、安全上、公的住居として不適切との考えがあります。
現状では旧耐震でも良いかか住まいが必要とったニーズに対しては、
公的支援では提供できる住宅はありません。となってしまいます。

住宅のセーフティネットを考えた場合、
耐震基準を満たしていない民間住宅に住む場合は、個人の判断だが、
公的セーフティネットとして公的住宅に住む場合は、耐震基準を満たさなければならない。
といった考え方は、少し気持ち悪さが残ります。

市営住宅の建設基準も以前は駐車場の確保が必須でしたが、
現在はお住いの方々の高齢化が進み、
車を保有している割合も減ったので、
市営住宅の駐車場は空きが目立つようになりました。
そういった部分は、有効活用の検討を進める必要があるのですが、
住んでいる方以外に空き駐車場を貸すことは
市営住宅の治安やプライバシーといった観点から難しいと言って
尻込みをしているのが現状です。

今後、財源が減っていく中、現在のサービスを維持していくには、
過去から現在を見るのではなく、
将来を見据えてどうすべきかを考え判断することが必要です。

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