横浜市の中高一貫教育校とは?【動画あり】

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横浜市では、南高校とサイエンスフロンティア高校の2校を公立中高一貫校にすることになっています。そのひとつ南高校は、先行して実施しており、初めて附属中学校に入学した生徒は現在高校2年で、来年度にその1期生が大学受験を迎え、中高一貫教育の成果がどのようになるか注目されています。

そういった状況の中、南高校は1クラスだけ募集していて、本年度の入試では11名の定員割れとなりました。そういった結果を受け教育委員会では、募集などのあり方について現在、様々な検討を行っています。

しかしながら学習塾関係者からは、来年の入試に向けた生徒の確保について、決して楽観できないと聞いており、私は教育委員会の現在の対応で、本当に大丈夫だろうかと心配しています。定員に満たなかった理由を前回の予算特別委員会で岡田教育長は、「受験者は、校風が失われたのではないかと危惧したことと、付属中から上がる生徒との人間関係の不安がある。」と分析していましたが、そもそも1クラス募集は、受検する側から見れば、入学できる人数が少なく、志願者数の変動が倍率に大きく影響することや、1度だけ認められている志願変更者数などが毎年変動したりするので、予測がつき難く、リスクが高いと考えるのではないでしょうか?

更に言うと、併設型の中高一貫校で、そもそも高校1クラス募集の成功例はほとんどないという教育関係者の話も聴いています。要するに高校で1クラスしか募集しないこと自体が一番の阻害要因になっているのではないかと思われます。そこで、

 

(1)中高一貫校の高校1クラス募集について、全国の事例はどのように調査し、分析したのか国際教育等担当部長に伺ってみました。

 

【部長答弁】全国の事例については、南高校附属中学校の開校時に検討しています。高校から1クラス募集を行った公立の中高一貫校について、募集定員に対する志願者数の割合を調査しています。調査結果によると、志願者数は、年によって大きく上下する傾向が見られ、募集定員を下回る学校もありました。また2クラス募集に変更した学校もありました。

 

部長の答弁からも公立の中高一貫教育校での高校1クラス募集は、非常に難しい状況にあることがわかります。南高校が1クラス募集を続ける場合には、本質的な課題を理解して、十分な対策をもって進めて頂きたいと考えます。

 

次にクラス編成ですが、南高校では、附属中学校からの進学生と高校からの入学生のクラス編成については、附属中学校で先取り学習を行ってきたことから、現在、生徒を混合していないと聞いています。一方、横浜サイエンスフロンティア高校については、平成32年度以降、学年2クラスの附属中学校の生徒が高校に進学することとなりますが、その際に、高校から入学してきた4クラスの生徒とのクラスを分けるのか?混合クラスにするのか?編成をどのように行うのかが気になります。そこで、

 

(2)平成32年度以降、横浜サイエンスフロンティア高校のクラス編成はどのように行うのか。その理由も併せて国際教育等担当部長に伺いました。

【部長答弁】中高一貫教育校化の基本計画では、附属中学から進学した生徒と高校から入学した生徒の融合により、互いに切磋琢磨する教育効果を期待していることから、高校のクラスは、できる限り混合することが望ましいと考えていますが、今後、クラス編成等の詳細な部分につきましては、附属中学の生徒の学習状況等も勘案して検討していきます。

 

基本計画にあるとおり、附属中学校からの生徒と高校から入学した生徒がお互い刺激になり、切磋琢磨し、高い教育効果となるような仕組みづくりに期待する訳ですが、であれば尚更南高校のクラス編成を混合できるように、高校からの募集を2クラスに変更すべきではないでしょうか?

 

次に、横浜サイエンスフロンティアについて確認していきます。附属中学校の生徒募集にあたっては、より意欲ある生徒を集めることも大切だと思います。

サイエンスフロンティア附属中学の募集要綱によれば、志願資格が横浜市内在住に限定されています。南高校附属中学校のように県内全域から志願が可能となれば、より意欲ある優秀な生徒を集めることができると思います。神奈川県立の中高一貫校である相模原や平塚の中等教育学校は、県立なのでもちろん、全県から志願可能です。そこで、

 

(3)志願者を市内に限定した理由を国際教育等担当部長に伺いました。

【部長答弁】サイエンスフロンティア附属中学の生徒募集に祭しては、通学上の安全面の観点や、募集定員が80人と比較的小規模であることもあり、市立の中学校として市民の就学機会を確保する観点から、学区外就学の特例を設けていません。

 

通学上の安全面の判断は、各々のご家庭が決めることだし、もし距離的なことを言うなら、横浜西部から通うより、川崎から通った方が近い場合もあります。市民の就学機会の確保と言うなら、同じ横浜市立の中高一貫校として南附属中学もぼしゅう条件を揃えるべきではないでしょうか?サイエンスフロンティアは地元地域の方々からは一番近くて、一番遠い学校と言われており、就学機会と言うのであれば鶴見区枠を設けて欲しいものです。

 

本質的には、横浜市の財源で運営しているので、何を大事にするのか?といった論点なのですが、目の前の市民に資するのか?将来の横浜に資する人材を育てるのか?ということではないかと私は思います。なぜ横浜が中高一貫教育を行うのか?といった本質的な理念に立ち戻って考えると、将来の横浜に資する人材の育成を行うことが大切であり、現時点の効果だけを見るのではなく、将来の横浜に向けた効果という視点で考えることが大切です。横浜サイエンスフロンティアの高校募集では、横浜の外れ鶴見区といった立地のため、開校以来、川崎など横浜市外全県域から、意欲ある優秀な生徒たちが集まっています。そこで、

 

(4)附属中学校の募集は市内に限定すべきではないという考えについて、教育長の見解を伺いました。

【教育長答弁】市内の小学生は今後、毎年3万人程度の児童が卒業を予定しており、市内に限定しても十分に適性を持った生徒80名を集められると考えています。本市以外の県内在住者の方につきましては、高校からの受験機会を活用していただければと考えます。

 

私がどうしても引っかかるのは、南高校附属中学と募集条件が違うことです。縦割り行政の弊害なのか?教育に対するビジョンが無いのか?分かりませんが、他の公立中高一貫校や、中高一貫校の多くを占める私学とともに切磋琢磨し、「高い学力の教育」を期待されている学校です。今後、改善の検討を行なうことを切に願います。

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