堺市大蓮公園のPark-PFIって凄いんです!

そもそも横浜市には約 2700 の公園があって、市民の皆さんが使っても使わなくても、年
間 60 億円以上の維持管理費が掛かっています。だからこそ、公園の魅力を高めることと、維持管理費を抑える努力が必要です。そこで私は、公園の収益化(Park-PFI)をずっと提言しています。

もちろん横浜市もPark-PFIに取り組んでいるのですが、ポテンシャルの高い公園や、Park-PFIに協力してもらいやすい公園をターゲットに取り組みを進めています。

一方で堺市は、パークマネジメント計画をもとに、Park-PFI制度の導入を検討する公園15箇所を絞りました。この中には、郊外部の住宅地域や、商店街に隣接した公園も対象としました。要するに、Park-PFIを導入しやすい公園ではなく、導入によって新たな価値を創出したい公園を選定しているのです。

今回視察した大蓮公園は、堺市の郊外部に位置し、昭和40年代にニュータウンとして開発されましたが、現在は、他のニュータウンと同様に高齢化などの問題を抱えているエリアです。そのような状況下にある公園に収益化で新たな価値を創出する取組を行っているのです。

大蓮公園のPark-PFI事業者は南海グループで、令和元年に基本協定を事業者と基本協定を締結し、令和2年8月に全面開業となりました。

主な内容は、広場でのマルシェの運営、自転車コース(バンプトラック)、キャンプサイト、カフェ、BBQ、図書館などと、南海グループのリフォーム相談所等を運営しています。

【MTBバンプトラック】無料

【DOD展示コーナー】

【BBQスペース】

【リフォーム相談所】

無料開放している部分も多く、採算性は低い状況にありますが、公園に新たな価値を生み出していることは間違いありません。もともと公園内にあった「堺市立泉北すえむら資料館」は、当時年間700万円以上の運営費が掛かっており、閉館となりました。また公園自体の維持費も年間900万円ほど掛かっています。それが今、旧すえむら資料館は様々なカタチで活用され、堺市は使用料として450万円ほどの歳入となっているのです。

【旧すえむら資料館】

事業スキームにも参考となる部分が多くあります。例えば横浜では、山下公園レストハウスの利活用事業の公募(Park-PFI)の公募では、施設に付随する公衆トイレの維持管理も公募要件に含まれていますが、大蓮公園では、Park-PFI事業の範囲と通常の公園維持管理は、明確に分けており、Park-PFI事業者に別途随意契約で業務発注を行っています。要するに、Park-PFI事業の収支をはっきり分かるように整理しているのです。

これからの時代、今までの公共サービスを維持することが出来ない財政状況となります。だからこそ行政と民間の柔軟な発想によって公共空間をリノベーションし、新たな価値を生み出すことが重要なのです。その方法の一つがPark-PFI。ネーミングが良くないのですが、本当はPPPでPark-Renovationなのです。

【公園広場のフリーWi-Fi】

横浜においても、新たな価値を生み出す公園を積極的に検討していく風土や組織体制になっていくよう、引き続き、提言して参ります。

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