徳島県のデュアルスクールは横浜でも活用できるか?

デュアルスクールとは、地方と都市の2つの学校の行き来を容易にし、双方で教育を受けることができる新しい学校のかたちなのです。

もともとは地方と都市の交流人口や「関係人口」の増加による地方創生と少子化への対応、子どもの豊かな体験機会の提供の視点から、地方と都市の学校を結ぶ教育環境を創造することによって、地方と都市双方の視点に立った考え方のできる人材を育成するとともに、「二地域居住」や「地方移住」を促進することを目的としています。

現行の学校教育制度では、2つの学校に籍を置くことは認められていません。そこでデュアルスクールは、「区域外就学制度」を活用することによって、都市部に住民票を置いたまま、保護者の短期居住(数週間程度)にあわせて地方の学校に学籍を異動させています。また、1年間に複数回の行き来も可能としています。

そして、学籍を異動させているので、受入学校での就学期間も住所地の学校では欠席とならず、受入学校での出席日数として認められます。

また徳島県では、受入学校には非常勤の「デュアルスクール派遣講師」を配置し、当該児童生徒の学習や学校生活の支援を行うとともに、都市部の学校との連絡調整業務を行うことで、受入学校をサポートしています。

徳島県の人口は72万人。5万人が公立小中学校に通っています。年々人口減少が進む中、交流人口や定住人口を増やす施策の一つとして進めており、今までに計20回、18人の児童・生徒を受け入れています。

徳島県のデュアルスクール事業予算は約500万円で、半分がPR等の委託費、残りが派遣講師の費用となっています。この事業で交流人口を増やすだけでなく、移住に繋がったケースもあり、一定の効果があると捉えています。

横浜で、デュアルスクールをどのように捉えるか?まだ明確な方向は見えていませんが、コロナの影響でリモートワークが普及し、都心から通勤圏内の郊外へ移り住む流れが進んでいると言われています。また企業のサテライトオフィスを誘致するツールとして使うといった進め方もあるかも知れません。

デュアルスクール制度、区域外就学制度、体験入学制度、親子留学制度など、二拠点生活の広まりに応じて活用できそうな就学制度があります。事実コロナ禍で働き方や暮らし方自体が大きく変わりつつあり、これらの制度を活用できる可能性もありそうです。デュアルスクールは、多様性の時代の中で、新たな暮らし方のスタイルとしてひとつの選択肢になることに期待しています。

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