教職員の育成について〔平成23年度 教育委員会決算審査より〕

10月2日の決算第一特別委員会局別審査で教育委員会に質問をしました。

内容は

1 民間人校長について

2 教職員の育成について

3 学校教育事務所について

4 不登校について

5 英語教育について

6 平成23年度横浜市教育委員会点検・評価報告書について

7 外郭団体について

です。

その内容を各項目毎に報告していきます。

今回は2回目で「教職員の育成について」です。

横浜市には16,000人を超える教員がいます。

そして大量退職・大量採用時代を迎えた昨今、毎年800人前後の初任者が採用されています。

この初任者の育成について横浜市では「横浜型初任者育成研修」として初任から3年間かけて育成しているのですが、

これらの研修は職場を離れて行ういわゆる「Off-JT」で、あくまでもきっかけでしかありません。

そこで「Off-JT」と「OJT」いわゆる職場内での教育を組み合わせて効果的にすすめていくことが重要となってきます。

学校現場では日々の仕事に追われ、経験の浅い教員を育てる余裕がないとも言われています。そこで、

(1)初任者を含む経験の浅い教員の育成を進めていくために、どのような体制でOJTに取り組んでいるのか、教育長に伺いました。

〔教育長の答弁〕

「初任者研修は法定研修で1年間と定められている。横浜では独自に3年間の研修プログラムを実施している。校内の研修については、文科省のガイドラインに基づき、年間300時間以上を実施している。10年次教員研修や主幹教諭研修に校内人材育成教育の項目も設定し意図的に体制を整えている。今年度からは校長経験OBを新任教諭につける取り組みも行っている。」

とは言え、同じ経験の浅い教員でも能力に大きな差があり、

組織としてサポートする仕組みがあるにしても、結局はうまく機能せず、ボトムアップできない現状があります。そこで、

(2)この状況について、教育長の認識と見解を伺いました。

〔教育長の答弁〕

「研修を修了しても継続的な支援が必要な教員がいる。このような場合は、学校と学校教育事務所が連携協力して、指導力向上の個別プログラムをつくり継続的に支援している。」

それでも改善出来ない現状があります。

指導力の不足した教員が担任となった子ども達は、充実した学校生活をおくることができるのか心配です。

指導力が不足している教員は、低学年の担任にすればいいといった安易な対応ではなく、本質的な改善をして欲しいものです。

次に管理職教員について伺いました。

学校内で組織運営をしていくためには、学校管理職がリーダーシップを発揮して、マネジメントしていくことが重要となってきますが、

今の時代は、人材育成だけじゃなくて、いじめとか、不祥事とか、日々様々な課題が発生したり、

学校現場に求められることが複雑多様化している中で、リスクヘッジや組織マネジメントのより高いスキルが求められています。

しかし残念ながら一部の管理職は能力が不十分であると私は感じています。

一方では、管理職であった多くの優秀な人材が大量退職しているという現状もあり、

次の世代の育成。これも喫緊の課題です。

そこで、早い段階から管理職としてのボトムアップやスキルアップを図っていくことが重要になってきます。そこで

(3)管理職の育成についての体系と内容について、教育長に伺いました。

〔教育長の答弁〕

「学校管理職人材育成指針に基づき研修を行っている。管理職承認後は経験年数に応じた研修を設定し、職責において必要とされる業務スキルやメネジメント能力の向上を図っている。」

管理職を育成する体系づくりは必須ですが、その先は管理職の「やる気」が重要であると私は思っています。

特に学校運営の中心となる人材として期待されている主幹教諭が、多くの仕事や責任を与えられ、

厳しい状況の中でモチベーションを維持できるのか心配しています。

そのことと関連して、毎年主幹教諭の何人かが降任を希望して、元の教諭に戻っています。そこで、

(4)主幹教諭の過去5年間の希望後任者の推移について、教職員人事部長に伺いました。

〔教職員人事部長の答弁〕

「過去5年間の希望後任者数の推移については、平成19年度11人、平成20年度18人、平成21年度28人、平成22年度25人、平成23年度22人。」

毎年かなり多くの希望降任者が出ている状況です。

一般にモチベーションの維持と給与の関係は密接にかかわってきますが、

(5) 主幹教諭が希望降任した場合と希望降任しなかった場合とを比較して、将来において給与にどの程度差が出るのか、教職員人事部長に伺いました。

〔教職員人事部長の答弁〕

「主幹教諭が50歳で希望降任した場合、その後定年退職までの10年間で受ける給与支給額は、希望降任しなかった場合と比べて、およそ50万円低くなる。」

その後の生涯賃金の差はたった50万円だけなのです。

それであれば責任の無い職でやっていった方が得であると私なら考えてしまいます。

(6)この現状を教育長は、どのように思うか伺いました。

〔教育長の答弁〕

「10年間で50万円の差は、個人の見解としては、差が無さすぎると感じている。」

民間では、責任のある職を拒否した場合に、収入ではもっと大きな差がでるんです。

本質的には、降任を希望しない環境の整備が必要なのですが、

降任を希望した場合の差は、もっとつけるべきだと感じています。

今、学校ではさまざまな課題を抱えています。

その課題に対応していくためには、教職員の力量を向上させていくことが必要であり、

いかに効果的に人材育成を進めていくかが重要と考えます。

横浜の未来を担う子どもたちのために今後も積極的に人材育成に取り組むことを要望しました。

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次回につづく

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