神山アーティスト・イン・レジデンス(ARI)は、
神山町で行っている国際的なアート・プロジェクトなのですが、
既に16年も続いている取り組みなのです。
何故、そんなに継続できているのか?
そして田舎町に国際的なアートはマッチしているのか?
様々な疑問を持ちながら実行委員会の杉本会長にお話を伺いました。
最初の私のイメージは、国際的なアート作品を神山に残し、
それを展示することで観光局を誘致することだと思ったのです。
そもそもアーティスト・イン・レジデンス(ARI)は、
国内外のアーティストを一定期間神山に呼んで、
滞在中の創作活動を支援する取り組みなのです。
ここで面白いのが、この活動を立ち上げたメンバーは、
芸術の専門家でもなく、英語が堪能な訳でもなかったのです。
それでも毎年3人程のアーティストを神山に約2か月間招き16年継続しているのです。
この取り組みはアーティストが作った作品がよりも、
作品を作り出す過程の方が重要なのだと杉本会長は教えてくれました。
アーティストが滞在している間の宿泊施設やアトリエを提供するだけではなく、
作品を作るにあたっての材料探しから資材の運搬、手元作業まで
地域の方々がお手伝いをしているのです。
また、作品の制作だけではなく、アーティストは地元小中学生の課外授業に参加したり、
地域の人々と食の交流を行ったりもします。
その活動自体が神山の街づくりに貢献しているのです。
そして16年継続できた秘訣は、無理をしないことと杉本会長はおっしゃいます。
「自分たちに出来る範囲で行う。そして芸術的なレベルを高めていくといった目標設定をしない。」
そんな杉本会長のスタンスがこの町に国際的なアートがマッチングし継続できた理由だと感じました。
横浜もトリエンナーレといった現代アートの国際展を3年に一度開催しています。
一定期間の展示だけではなく、本来はアーティストの活動自体にもスポットをあてて
地域との繋がり深め、街づくりに貢献できるイベントにすべきだと私は思いました。
(神山町の視察報告はこれが最終回!)