私は、障害は当事者にあるのではなく社会にあるのだと考えています。
ですから精神障害者生活支援センターを市民の皆さんにもっと知って頂き、地域の皆さんに障害者に対する理解を深めて頂きたいと思っています。
精神障害者生活支援センターは、平成6年に基本構想ができ、その後1館目が平成11年度に設置されました。
そして昨年には鶴見区の豊岡町にも設置され、今年の3月に各区に1館づつ計18館の整備が完了しました。
生活支援センターの目的は精神障害者を対象に
①日常生活の支援及び相談支援、地域交流の促進
②精神障害者の社会復帰と自立及び社会参加の促進
③精神障害者に対する理解の促進
などです。
基本構想では統合失調症を対象に、風呂や洗濯設備、厨房を備え、自前で調理した食事を提供できるよう厨房や風呂、洗濯設備を備えることとしました。
そして当時の考えのまま20年が経ち18館の整備を終えました。
生活支援センターは年々利用者も増えており地域で暮らす精神障害者にとって頼りになる場所となっています。
しかし約20年前の構想のままで、今のニーズに対応できるかといった疑問が残ります。
時代とともにあるべき姿は変わっていくものだと思います。
現代の社会は気分障害など、対象者の範囲も広がり、多種多様な対応が必要になってきました。
ですから箱の中で待つだけの受け身ではうまく機能しません。
支援を必要としている方のもとへ行き、手を差しのべるアウトリーチ的な取り組みが必要ですが、今の生活支援センターではそこまで取り組む余裕がありません。
横浜市では「自立生活アシスタント」という事業があり、障害者のもとへ行き支援を行っています。
しかし、この事業の対象者は主に単身者なので、例えば、ひきこもりで外に出るのが難しい場合でも健康な家族が同居していれば対象外となってしまいます。
このようなケースこそ、生活支援センターが手を差しのべるべきと私は考えています。
また、公設民営か民設民営かの違いはあるものの市内18区の全ての生活支援センターが同じ枠組みの中で運営されていることも課題があると考えています。
鶴見区と青葉区ではまったく環境も異なり、対象者が必要としていることも違うのに、同じ枠組みで運営しているのです。
生活支援センターの運営は、資金的にも人力的にも厳しい状況です。
手を差しのべる必要があることが分かっていても十分に対応できない現状もあります。
だからこそ限られた資金やマンパワーを有効に活用する工夫が必要なのです。
各区に1館づつ市内計18館ある生活支援センターが、全て同じ基準で運用するのではなく、それぞれの地域のニーズに合わせて、柔軟にサービスを提供することが必要なのです。
そして柔軟に運用できる仕組みを行政はつくるべきなのです。
例えば食事サービスにしても、指針に基づき市内18箇所の生活支援センターの厨房で食事がつくられ提供されていますが、かなりの人件費や時間が割かれています。
こういったことも地域の飲食店と連携して食事を提供する等の工夫をすれば、地域との繋がりもできるし、サービスの質を落とさずに効率化を図ることができます。
精神障害者の施策としてハードの整備が完了した今、今後はソフトをしっかり考えることが必要であり、各生活支援センターが地域のニーズに合った取り組みが柔軟に実施できる仕組みをつくることが重要であると考えています。