福岡市の高齢者住まい・生活支援を学ぶ!

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お題目から少しズレますが、先ずは福岡市の住居の状況について記します。

平成25年の住宅・土地統計調査によると福岡市の住宅総数は85万4千戸。空き家は10万5千戸(12.2%)。

特徴としては共同住宅率が77.6%(全国平均42.4%)とめっちゃ高いのです。

そして借家率も61.0%(全国平均35.5%)と高く、

単身世帯率は47.7%(全国平均32.4%)とこれも高い。

なのにバリアフリー化率は45.1%(全国平均50.9%)とあまり高くない状況です。

これは企業の転勤者の入れ替わりが激しいということなのでしょうかね?

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ここで話を戻して高齢者の住まいについてですが、福岡市の入居制限に関する事業者アンケートによると、入居希望者に対してお断りする場合があるとの回答は年々増加し81.6%となっています。

入居をお断りする場合の世帯に関しては、高齢者だけで住む世帯(単身者、夫婦世帯)が26.2%と以外に多く、連帯保証人等の確保が困難な高齢者の入居は断ると回答した事業者は77.4%となっています。

そして連帯保証人がいない高齢者の入居を断る理由について金銭的な保証及び緊急時の連絡先が共に得られないためが67.1%と一番多い理由です。

そこで福岡市ではこの課題を解決すれば高齢者が安心して住まいの確保が出来ると考えモデル事業を始めました。

福岡市のスキームは、社会福祉協議会が主体となり、家賃債務保証セクターや専門相談、緊急時対応、権利擁護、見守り、死後事務委任、家財処分、寺院・霊園、葬儀社、生活支援サービス、コーディネート等のフラットフォームを活用して入居困難高齢者と不動産会社の協力店との間に入り繋ぐといったものです。

この事業の最大の課題は財源。基本的にはサービスを受ける費用は利用者負担ではありますが、この事業を運営する運営費は福岡市の補助で賄っています。今後は事業手法の確立を目指し、障がい者世帯や外国人世帯、子育て世帯へと対象者を拡大していく予定です。

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それでは横浜市の場合はと言うと、民間住宅あんしん入居事業という同様の事業を平成16年からやっており、高齢者の入居拒否といった実態はあまり無いとのことで、この事業のスキームの中で保証会社が柔軟に対応をしており、保証料も2年間の契約で家賃の30%で、

・24ヶ月を限度額とした未払い賃料の代位弁済

・残置家財等の撤去費用についての代位弁済

・原状回復費の代位弁済

・家賃滞納による明渡し訴訟等に要する費用についての代位弁済

を賄っています。

そしてこの事業の対象者は世帯主が60歳以上の世帯だけではなく、障がい者世帯、外国人世帯、ひとり親世帯、特定疾患者世帯、DV被害者、児童福祉施設出身者、ホームレス自立支援センター退所者、子育て世帯と対象者も幅広く、あんしん入居事業としては十分対応しているように思えます。

しかしながら実態を見ると、成約件数のピークが平成18年度の405件で、そのうち344件は生活保護受給者で、高齢者の成約は24件でしたが、平成26年度には成約件数は30件で、その内、生活保護受給者の成約が24件で、高齢者の成約は4件でした。

生活保護受給者については保護費の中に保証費が含まれているか否かの過去の経緯に大きく影響を受けているように感じますが、

高齢者の成約自体は、全体的に多くはなく、ニーズが無いのか?事業自体が利用しにくいのか?事業の存在を知られていないのか?更なる調査研究が必要と考えています。

何れにしても地域ごとに状況や条件は異なり、課題解決に向けた対応策は異なることを十分理解した上で他都市の事例を参考にしていくことが重要です。

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