財政情報を見える化しましょう!

2021年3月の議会質問

「財政情報の見える化」で私が期待しているのは、当局がWebで発信している「財政解説(予算・財政の30秒解説)」についてです。質問形式で、キャラクターの「エビちゃん」が回答しているのですが、「国と地方の税の配分に問題あり!」とか国を批判しちって、結構、エッジのきいたこと言っていまして、面白い作りになっています。そこで、まず、

(1) この財政解説の発信理由について、財政部長に伺いました。

《部長答弁》【難しいというイメージがある予算、財政、さらには横浜市の取組を、これからの横浜を担う10代~20代の若い世代に知ってもらうことが狙いです。若い世代が理解できる内容であれば、その上の世代の理解促進にもつながるといった相乗効果も狙って、コアターゲットを若い世代に設定しています。ニーズをくみ取るため、横浜市立大学の学生とも意見交換してコンテンツを作成し、令和元年5月から発信を開始しています。】

  それで、発信をはじめてから2年近く経つわけですが、

(2) この間の閲覧数と発信効果について、財政部長に伺いました。

《部長答弁》【閲覧数は、月平均で元年度が約1,300件、2年度が約2,100件と増加しています。発信効果は、市内大学等への出前講座のアンケートから、わかりやすいツールとの声をいただいています。また、出前講座の教材として活用することで、予算の使い道や市税の種類といった内容の理解にもつながっていると認識しています。】

これを読み込めば、横浜の財政状況がすべて理解できるくらいの内容が盛りだくさん入っているのですが、分かりやすい内容も多くある一方で、内容のレベルが高く、専門性がないと理解が難しいところもあるように感じました。「税の配分」については地方交付税の基本を理解する必要がありますし、「公共施設と税金の関係」についても専門知識が必要な部分もあります。そこで

(3) 難易度の異なる設問が混在する点など改善が必要と思いますが、財政部長に伺いました。

《部長答弁》【現在の設問数は74問で、開設当時は31問でしたから、倍増しています。当初は出前講座で寄せられた予算や財政の疑問をもとに設問を作成しました。その上で、2年度であれば、くらし・経済対策に関する補正予算の概要や本市のふるさと納税の取組など掲載内容を追加してきました。その結果として、レベルの異なる設問が混在してしまっているとの認識を持っており、例えば、「基本編」「応用編」に分けるなどのレイアウト改善等について、利用者のご意見も聞きながら検討したいと考えています。】

状況はよく分かっていらっしゃるのですね。現状の閲覧者の大部分が、他都市の財政担当者と研究者、残りの一部がプロ市民といったイメージならば、問題はないのかも知れませんが、本来は、

(4) 財政知識のある層ではなく、一般的な市民でも興味をもって読んでもらえるような発信の工夫が必要と考えますが、財政部長の見解を伺いました。

  《部長答弁》【素朴な疑問に答えていくとの趣旨で作成、更新してきましたが、改めて、知りたいと思う内容が発信できているか、出前講座などで学生とも意見交換して確認していきます。あわせて、どの自治体の予算、財政のページが分かりやすいか一般の市民の方にもヒアリングし、その結果も反映したいと考えています。周知についても工夫ができると思っていて、内容更新時には市のツイッター等で周知していきます。】

少しずつ改善しながら、より良いものにして頂けることに期待します。

そして次に、新たなWebサイトの立ち上げるとのことなので、オープンデータという事を意識しながら伺います。新たなサイトでは、事業計画ごとに概要、事業評価、関連データなどが一覧化されるとのことですが、

(5)類似の取組を行っている地方自治体はあるのか、財政部長に伺いました。

《部長答弁》【東京都が「TOKYO予算見える化ボード」といったサイトを、令和3年1月から、新潟県柏崎市が「デジタル予算書」といったサイトを、3年2月から公開しています。】

  地方自治体をリードしてきた横浜としては、少し残念に思うところもありますが、それでは新たなWebサイトは、

(6) 先行自治体と機能面などに違いはあるのか、財政部長に伺いました。

  《部長答弁》【予算事業情報の掲載の点では、先行自治体とほぼ共通です。一方、本市の個別事業ページに設置する、市民活動団体や事業者からの公民連携の提案をシステム上で可能にする機能は、先行自治体はありません。】

  情報の公開において「公民連携」がとても重要なポイントですが、そこで、

(7)公民連携機能を加えた理由を財政部長に伺いました。

  《部長答弁》【長期財政推計で明らかになった厳しい財政状況の中で、持続可能な財政運営を行っていくためには、多様な連携主体とともに、オープンイノベーションによる課題解決を図り、同時に、公共サービスの担い手を増やしていくことが重要と思います。行政のアイデアの枠を越えて、民間企業や市民活動団体等から提案を呼び込み、市民サービスの向上につなげていく必要があると考えて、機能に加えました。】

公務員制度の弊害を補う意味でも民間の知恵を柔軟に活用していくことが重要です。この新しいサイトの立ち上げが楽しみで、早く開設して頂きたいのですが、そこで、

(8) 新たなWebサイトの設置までのスケジュールについて、財政部長に伺いました。

  《部長答弁》【事業者の提案を受けながら、公民連携でWebサイトを構築したいと考えており、委託により実施します。4月上旬に、プロポーザルに向けた要件を公表して、5月に提案を受け付け、6月に契約を行い、9月中の公開を目指します。】

  良いと思います。それとサイト設置後、公民連携の推進主体となる民間企業や市民活動団体の皆さんに、すぐ利活用してもらえるようにしていく必要があると思うのですが、

(9) 閲覧や活用につなげるための方策について、局長に伺いました。

  《局長答弁》【設置したら使っていただかないと意味がありませんので、Webサイト設置前後に、本市ホームページやツイッターで周知していきます。財政出前講座などアウトリーチ型広報の場でも積極的にPRしていきます。市民活動団体や事業者には、市民協働推進センターと連携した情報提供を行ったり、政策局共創推進課保有の事業者メーリングリストや、共創フロントに関心をもつ方々に周知していきます。】

これからスタートですが、懸念していることを申し上げておきます「公民連携の進め方」ですが、今までは、連携できそうなところから進めるといった消極的な推進でしたが、今後は、課題解決が特に必要な分野など、本市として、公民で解決していくことが望ましいと考える分野を明確にして、戦略的に展開し効果をあげていただきたいと思います。

例えばこのツール上で、戦略的に分野やテーマを市側から示し、提案を募るといった仕掛けも有効だと思います。 

先ほどの未利用土地とか、今、国が推奨しているPark-PFIや、消極的な道路局の歩行者利便増進道路による道路上での商業活動、そしてまったくやっる気のない港湾緑地のPark-PFIなどの情報もがっつり入れ込んで、公民連携が進むことに期待します。

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