食ロスについて考えよう!

昨今「食品ロス」問題の関心が年々高まっています。消費者庁が実施している消費者の意識に関する調査によると、平成28年の関心は62.4%であったものが、令和2年度には79.4%に上昇しており、消費者側の意識は高まりつつある状況にあります。

 

飲食店における食品ロスの発生要因のひとつとしては、食べ残しが挙げられます。「食べきり協力店」は、まさにこの食べ残しを削減するための事業者(供給)側の取り組みです。

 

登録した店舗は、「小盛メニュー等の導入」や「持ち帰り希望者への対応」など、その店舗にあった食品ロス削減の取組を実施しており、食品ロス全体の削減に寄与しています。そこで、まず、

 

(1)食べきり協力店の登録店数の推移について、事業系対策部長に伺いました。

 

【部長答弁】食べきり協力店を開始した平成24年度の登録店は、104店舗でしたが、直近の過去3か年の登録店数は、平成30年度末時点では、829店舗、令和元年度末時点では、909店舗、令和2年度末時点では、948店舗と着実に増加しております。

 

平成24年度の「食べきり協力店」開始以降、食品ロス削減のため、登録店増加に向けて取り組んでいる訳ですが、飲食店にとっても、一定のメリットがあるからこそ、登録につながっていると考えられます。そこで、

 

(2)登録店にとって、どのようなメリットがあると認識しているのか事業系対策部長に伺いました。

 

【部長答弁】登録店舗に対して実施したアンケート調査では、約70%の店舗が食べ残しの削減効果があったとの回答をいただきました。また、40%が環境に配慮している店舗であることをPRできた、などの回答をいただきました。こういったことから、多くの登録店舗にメリットを感じていただいていると考えております。

 

そりゃそうなんですけど、お店は商売としてやってる訳で、そのPRがどれだけ収入に貢献するかといった判断もあります。

959店舗の登録、市内には約1万3千の飲食店が存在、約7%。実態。食品ロス削減のためには「食べきり協力店」の取り組みの本質を理解して頂く必要があるとともに、行政側もお店の経営といった観点で理解をしておく必要があります。そこで、

 

(3)登録促進における課題はどのようなものがあるのか局長に伺いました。

 

【局長答弁】飲食店の営業形態は多種多様でございまして、バイキング形式の店舗、そして式典や宴会が中心のホテルなどでは、やはり食べ残しが発生しやすい、そういった傾向にあります。また、食品ロス問題に対する関心も、飲食店によって異なるところがございます。そのような中、食べきり協力店の主旨をご理解いただき、ぜひ登録をしていただけるよう、粘り強く働きかけていくことが、重要だと考えております。

 

粘り強く働きかけても限界があります。

 

新型コロナウイルス感染症の拡大により、飲食店の経営は非常に厳しい状況にあります。今後、アフターコロナを見据えて、飲食店の支援を積極的に行う必要があります。「食べきり協力店」になることがお店の経営面でもプラスになるよう考えていかなければなりません。そこで、

 

(4)登録店増加のために今後どのように取り組んでいくのか局長に伺いました。

 

【局長答弁】まずは、食べきり協力店のホームページやSNS、区が開催いたします食品衛生責任者講習会等を通じて、食べきり協力店の周知を図ってまいります。さらには、チェーン展開している店舗の本部や、飲食店組合等への直接的な働きかけなども通じまして、登録店増加に向けた取組を積極的に進めてまいりたいと思っております。

 

では、

 

(5)登録店が莫大に増えないのは、そもそも「食べきり協力店」を知らない問題?それとも登録の手間の問題?知ってるけどメリットを感じていない問題?どれだと行政は思っているのか局長に聞いてみました。

 

【局長答弁】(食べきり協力店について)知らないという方もいらっしゃるかもしれません。また、営業形態もさまざまでございまして、どうしても小盛りメニューだけでなく逆に大盛りでお店を目立たせるというところもございます。さまざまな(店舗に対して)、やはり、そういったところに対しても、どれだけ食ロスの削減、そういった環境にやさしい取組をしているのか、我々もそういったお店をできる限り紹介する等、市民の皆さんにわかってもらうような、そういった取組が重要なのではないかと感じているところでございます。

 

少し話を広げて、新型コロナ感染拡大の中、私たちの生活様式は大きく変わりました。数多くの飲食店がテイクアウトを導入しています。飲食店での持ち帰りに対する抵抗は少なくなっていると思います。この流れは今後も変わらず、飲食店における持ち帰りは一つの習慣となり、食品ロスの削減に寄与することが期待できるのではないでしょうか。そこで

 

(6) テイクアウトの広がりを踏まえ、今後持ち帰りについて積極的に推進していくべき局長の見解を伺いました。

 

【局長答弁】現在、コロナ禍における飲食店の経営は、先生がおっしゃる通り非常に厳しい状況にあり、本当に大変なご苦労をされている中で、各店舗ごとに様々な工夫をされています。その一つとして、今ご紹介のありましたテイクアウトを開始した飲食店も増えておりまして、利用者も増加していると感じています。こうしたテイクアウトの広がりによって、これまで垣根の高かった、食べきれなかった食品の持ち帰りが、いわば、一般的に、当たり前になってほしいと期待しています。こうした状況をとらえ、食品ロスの削減が進むよう、取り組んでまいりたいと考えています。

 

県による平成30年度の推計によると、食品ロス発生に占める外食産業の割合は全体の45%、発生量は12万5千トンであり、他の産業に比べて最も多い状況となっています。食べきり協力店は外食産業における食品ロス削減のため、欠かせないものですが、食べきり協力が進んだとしても食ロスが全て解決する訳ではありません。日々のお客さんの入り具合の変動で、提供できなかった食材を廃棄しなければならないといった問題も残っています。

 

行政側の都合で周知すれば良いという時代ではなくなりました。これからの行政は、より本質的なことを理解して、取り組んでいかなければなりません。

 

ここで質問したのは、事業系の食品ロスの話ですが、家庭系の食ロスは、たしか横浜市で年間9万3千トンくらいあったと思います。ざっくり言うと、「燃やすごみ」1万トンあたりの処理費は4億円くらいだから、食ロスに年間37億円くらい処理費を無駄に使っていることになもなります。こうした事実を市民の皆さんにも知って頂くことが、とても重要なことだと思います。

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