鶴見川の氾濫で浸水する範囲は何処?

昨年8月、国及び県により、鶴見川水系と多摩川水系の洪水浸水想定区域が見直され、これまでの前提条件である、「2日間で405ミリの降雨」に加え、想定し得る最大規模として「2日間で792ミリの降雨」を条件とする新たな浸水想定区域が指定されました。

 

近年、栃木県や岩手県、北海道等各地で大雨による甚大な被害が発生していますが、さらに、今回、前提条件が従前の2倍近い雨量となったことで、これまでよりも水害に対する不安を感じている市民の方がたくさんいらっしゃると思います。そこで、

 

(1)今回の浸水想定区域の指定を受けて、横浜市としてどのような取組を行うのか室長に伺いました。

 

 《危機管理室長答弁》

鶴見川水系及び多摩川水系の新たな洪水浸水想定区域は、既に、本市のホームページ上で、内水浸水想定区域等の他の防災情報と重ね合わせてご覧いただけます。あわせて、これまでの計画規模に加え、想定最大規模の洪水浸水想定区域のほか、避難所や危険な場所、避難勧告等の意味を正しく理解していただくための説明等をわかりやすく掲載したハザードマップを作成中です。このハザードマップは、来年度の出水期までに、浸水想定区域内の全世帯に配付する予定でございます。

 

ハザードマップは、大雨による河川氾濫により、自宅等がどのような影響を受け、どのような避難行動を起こし、どこへ避難すべきなのかを事前に確認するうえで重要なツールです。

 

 

上図は鶴見川周辺を拡大したものですが、これを見ますと青印の地域防災拠点が浸水域に入っています。地域防災拠点は学校でもあり、日中は生徒・児童も居ます。そして自宅に帰っても浸水域だという生徒・児童も多く居るはずです。こういった河川氾濫で浸水する地域防災拠点は市内で、都筑区1カ所、青葉区1カ所、港北区14カ所、鶴見区に17カ所もあるのです。

 

地域防災拠点には防災備蓄庫がありますが、鶴見区の下末吉小では、防災備蓄庫が河川の氾濫により最大3m浸水するとされています。

ただ、これは津波ではなく、河川氾濫ですから、事前にある程度の予測はできるものの、水没する可能性があると言っておきながら、このままにしておいて良いのか?といった声は地域からもあがっています。

 

 

ついでに津波の浸水域も見ておきたいのですが、河川氾濫と同様の状況でして、津波浸水域の中に地域防災拠点が鶴見区には3カ所あります。

 

ここにも防災備蓄庫がありますが、横浜市は津波がくると地域防災拠点として機能しないと考え、別の場所にある方面別備蓄庫から物資が支給するといった防災計画を立てています。

 

しかし問題なのは、その方面別備蓄庫自体も、津波浸水域の中にありますので、備蓄を運搬しようとしても津波の後は交通やインフラが機能しないことが想定されるので、物資自体が供給できない状況になります。このことの方が大問題です。

 

これらのことを実際にイメージしながら、日頃から対策を講じておくことが重要です。話は洪水浸水に戻りますが、私は、ハザードマップを配付したら終わり…ではなく、今回のハザードマップの改訂を、地域で、洪水対策を考えるきっかけのひとつとしてもらいたいと思います。

 

まずは、地域の方々に、自宅や周辺の浸水想定等、身の回りの災害リスクを知ってもらい、次に、いざ浸水した時には、何をしなければいけないかを認識し、そして、適切で速やかな避難行動に移すことができるかが重要です。そこで、

 

(2)具体的にどのような対策を講じていったらいいかという意識を啓発し、さらに、地域における自助・共助につながる働きかけもすべきと考えますが、局長の見解を伺いました。

 

《総務局長答弁》

大雨による浸水等、いざという時には、自ら、あるいは助け合って迅速で的確な避難行動をとっていただくことが重要でございます。今回のハザードマップの配付にあたりましては、自治会町内会など地域の皆様や学校などに対してマップの内容を丁寧にご説明し、日ごろからマップを活用した訓練に役立てていただくよう働きかけてまいります。現在も地域の防災の担い手の方々を対象とした「防災減災推進研修」を開催いたしまして、各種ハザードマップの活用の方法や、他の地域での取組の事例等の御紹介を行っております。こうしたことを、さらに今後は充実をさせ、各地域の中で取組めるように、区役所とも連携して、進めてまいります。

 

私は、全てを公助で、そしてお金を掛けてハードで整備すべきとは思っていません。自助・共助・公助がお互いに十分に連携し合い、発災時に最大限の効果が発揮できるよう、公助として何をすべきかを考え、取組を積極的に進めていくことが重要だと考えています。

 

 

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