これからの高齢者の住まい方とは!

前回は「高齢者が安心して暮らすための対策」について書きましたが、さまざまな地域の実情やニーズがある中で、地域の見守り活動を支援する施策は非常に重要であり、ソフトとハードの両面から地域の見守りを支える環境整備が必要です。 例えば、北海道の釧路町では、独立した住宅部分のほかに、共同で利用できるスペースを備えた住宅で、住民同士の交流や高齢者などの生活支援に有効とされる、いわゆる「コレクティブハウス型」の公営住宅を整備しています。 そこでは、NPO法人により施設が運営されており、趣味や娯楽、生活相談、地域住民との交流など様々な活動を通じて、お互いに支え合う暮らしが実現していると聞いています。 今後、この事例のように、増加する高齢者の住宅における見守り施策の選択肢を広げることが重要と考えます。 そこで、 (1)住宅施策の観点から、高齢者の見守りのあり方を幅広く検討するべきと思いますが、考えを伺いました。 【横浜市の答弁】 住宅施策の観点から高齢者の見守りのあり方を幅広く検討することについてですが、高齢者が地域で生き生きと安心して住み続けるためにもこれは重要であると考えています。これまでに、緊急通報システムや生活相談室を備えた市営住宅を初め、優良賃貸住宅、サービスつき住宅など、高齢者へ向けた住宅施策を展開してきました。また、鶴見会館の跡地では、高齢者や子育て世帯などの居住者や地域の皆様が交流できるスペースを配置したよこはま多世代・地域交流型住宅を整備中であります。今後も高齢者の居住ニーズによりきめ細かく対応した住宅施策を進めて参ります。 鶴見会館の跡地では、共同住宅(高齢者向け住宅70戸、一般世帯住宅29戸)の1階に交流スペース(約310m2)を配置したもので、ここにコーディネーターを配置して、住居者間の交流や、住居者と地域の交流を図るといったものです。 ちなみに高齢者用住宅は、自立型の夫婦用(35m2~54m2)で月額104,500円~139,500円を予定しています。 この事業スキームは、横浜市の土地を無償で貸付して、民設民営で運営するといったものです。高齢者の住まい方について、どこまで行政主体でどこから民間で整備していくものなのかは、今後、議論が必要です。 千葉市には、行政の支援を一切受けずに運営をしている高齢者向け施設「スマートコミュニティ稲毛」があります。ここは、アクティブシニア向けの、高付加価値分譲マンションで、新たな高齢者の住まい方を提案しています。 ここでは所有権としてマンションを販売すると共に、入居者は全員、クラブに入会することとなっています。 併設した1万坪のクラブハウスには、食堂、バー、図書室、ダンスホール、音楽室、陶芸室、お茶や琴を楽しむ和室、卓球場、ゴルフシュミレーターなど、元気な高齢者の方が、趣味やサークル活動に積極的に参加する為の施設が整っています。 又、隣接した2万坪のグランドには、テニスコート4面、サッカー場、野球場2面、ゴルフの打ちっぱなし練習場などの、あらゆる施設があります。 元気なシニア世代(入居資格は50歳以上)が、趣味や「生きがい」をもって暮らす高付加価値な施設で、なだ万監修の食事(朝・夜の2食)を毎日食べながら、各々の施設やサークル等のサービスを利用でき、最終的には、2000戸のコミュニティを目指しています。 月々の利用料は約10万円で、年金で支払えることが前提となっており、「食」や「お金」「健康」(365日対応の医務室あり)などの心配から開放され、安心して健康で暮らす場を提供しています。 少なくとも、「スマートコミュニティ稲毛」を視察して、ここで暮らす皆さんが活き活きとしていて楽しそうであると感じました。 このような施設も、高齢者の住まい方の一つで、民間で出来ることは、民間で行うことが望ましく、民間で難しい部分を行政が支援していき、あらゆる世代のあらゆる状況の高齢者が、安心して暮らせる環境を整備していくことが重要です。 また、これからの時代に安心して暮らすためには、行政サービスには限界があるため、自助・共助が出来る地域コミュニティの形成がより重要となってきます。コミュニティの形成には、何も全てをハードで対応する必要は無く、自治会や地域サークル等のソフトがより重要な役割を担う時代となりました。 行政の役割は、これらハードとソフトの仕組みをつくることであり、民間や地域が主体的に活動できる柔軟な対応が求められます。

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