学校における防災備蓄品はもっと現場のことを考えて欲しい!【動画あり】

 

児童のための防災備蓄は、大変重要な取組みだと考えています。東日本大震災後からは、非常食などの備蓄品が全ての学校に配備されるようになりました。そこで、

 

(1)子ども達のために防災用の備蓄をすることになった理由について、総務部長に伺いました。

 

【部長答弁】東日本大震災の教訓から、H23年度に「横浜市学校防災計画」を見直し、市立学校では、震度5強以上の大規模地震が発生した際には、保護者が引き取りに来るまで児童生徒を学校に留め置くこととしました。これに合わせて、H24年度から、安全に留め置くための備蓄品の配備を開始しているものです。

 

 5年前の東日本大震災の経験がもとになっているわけですが、

 

(2)学校における防災備蓄品のこれまでの取組について、総務部長に伺いました。

 

【部長答弁】震災時に学校で児童生徒を安全に留め置くため、24年度から段階的に非常食などの備蓄品の配備を進め、27年度に全市立学校への配備が完了しました。28年度からは飲食料の賞味期限に合わせ、順次更新に着手しています。

 

 全校への配備が完了し、順次更新もしていくとのことで、教育委員会には、これからは安心だといった雰囲気が漂っているのですが、そこが一番の問題だと私は思っています。そこで、

 

(3)現状の具体的な配備内容について、総務部長に伺いました。

 

【部長答弁】地域防災拠点に指定されている学校は児童生徒の10パーセント分、域防災拠点に指定されていない学校は児童生徒の20パーセントの数量の飲料水、クラッカー、アルミブランケット、学級数分のLEDランタンを配備しています。飲料水とクラッカーについては、1人あたり2食分を配備しています。

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↑≪地域防災拠点に総務局が配備している防災備蓄品≫

地域防災拠点では食料・水を2000人分と、その他、生活・救護・救助に関係する物資を配備しています。児童用にクラッカー、水にアルミブランケットとLEDランタンの4品目を備蓄しているとのことですが、食料関係は、備えるにこしたことはありませんが、LEDランタンは地域防災拠点で80台が配備されているので、共用できるものが本当に追加で必要だったのか?と思ってしまいます。しかも、防災拠点のランタンは手動発電式ですけど、教育委員会が配備したランタンは電池式で将来においても電池の交換が必要なものでランニングコストや手間が掛かります。こういった状況を見ると何だか検討があまいのではと感じてしまいます。そこで、

 

(4)この4品目を選んだ理由について、総務部長に伺いました。

 

【部長答弁】東日本大震災の経験から、当時、学校で必要だったものを挙げ、地域防災拠点の備蓄庫に保管されている物資などを参考にしながら、備蓄品を選定しています。

 

どう見ても、総務局が配備している備蓄品は考慮していないように感じてしまいます。

 また、地域防災拠点の学校は児童生徒の10%分、地域防災拠点に指定されていない学校は児童生徒の20%分ということで、全員分は備蓄していないということですが、そこで、

 

(5)配備数量の考え方について、総務部長に伺いました。

 

【部長答弁】東日本大震災の際、最も留め置き児童生徒の割合が高かった特別支援学校を参考に、配備数量を児童生徒の20パーセント分と設定しています。また、地域防災拠点に指定されている学校は、地域のご理解を得ながら、防災備蓄庫の備蓄品を使用できるため、半分量である児童生徒数の10パーセント分を配備しています。

 

 東日本大震災は横浜から離れた場所での災害であり、首都直下型の大地震が起きた場合、留め置き児童数はもっと増えますし、地震が起きる時間帯によっても留め置きする児童数は変わるのではないでしょうか?そういったことを地域ではしっかりと考えていて、児童全員分の食料はPTAが購入している学校も多くあります。

もちろん、自助・共助と公助の線引きをどうするかは考える必要がありますが、児童の10%や20%の備蓄をしたから安心だというのは、勘違いではないでしょうか?

ついでに言うなら、防災訓練で、クラッカーを児童に食べさせるのは逆にのどが渇くので、備蓄食料としては如何なものかという地域の声までありました。そこで、

 

(6)防災備蓄品の量と質について、さらなる検討が必要との考えに対して、教育長の見解を伺いました。

 

【教育長答弁】備蓄品の量の充実についてですが、「学校防災計画」では、児童生徒の在校時に大震災があった場合、原則として授業を打ち切り、保護者に連絡をとり、保護者とともに帰宅させることになっています。状況によっては児童生徒を留め置きする場合も、保護者の引き取りまでとしており、総務局の備蓄方針も参考にしながら、一晩程度を想定しました。そのため、児童生徒の20パーセントの2食分としました。また、質の充実についてですが、食料のクラッカーは軽く、少スペースで保管でき、一番安価であるなど、学校現場の実情を踏まえ、必要なものを配備しています。配備内容の量と質のさらなる充実については、学校や関係局とも調節しながら考えていきます。

 

実際に災害が発生した場合、これは児童用、これは避難者用との区別をすることも難しく、現場の判断で弱者優先に備蓄は使用されていくのではないでしょうか?

また、市内に40校ある地域防災拠点に指定されていない学校で児童全員を留め置きしなければならない状況が発生した場合、20%の備蓄では、大きなリスクを抱えている状況です。

 そういうことを鑑みると、児童用の備蓄は、教育委員会だけで、机上で考えるものではなく、地域防災拠点の備蓄品や地域の自助・共助で備えているものとを考慮し、トータルで考えるべきです。そこで、

 

(7)市立学校の防災備蓄品について、区局の枠を超えて情報共有し、本市全体で取組むべきとの考えに対して、副市長の見解について伺いました。

 

【副市長答弁】教育委員会で配備している防災備蓄品、これについては、今、教育長がご説明したとおりです。そういう意味で、当然、我々学校現場に限らず、この防災ということに関しては、いろいろな考え方の中で、現実に日々これからいろいろな災害が東日本の後も起こっているので、そういう中での経験値を、きちんと踏まえながら、検討していく必要があると思っています。そういう意味で、災害時の備えは、今、先生もおっしゃられたとおり、関係区局で検討していかなくてはなりませんが、現在のところ、学校現場でのあり方というものは、現在の備蓄の考え方を基本にしながら今申し上げたようなことで、検討は引き続き進めていきたいと思います。

 

全市的と言うと、まだまだ時間が掛かりそうなので、教育委員会として直ぐにできることは、子ども達の防災備蓄予算の執行です。品目数量まで教育委員会が決めるのではなく、予算の使い道は現場判断にするよう早期に改善することを要望しました。

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