山中市長には「創造都市施策」を推進して欲しい!

横浜市では、平成15年当時、歴史的建造物が少しずつ姿を消し、関内地区ではオフィスの空室が増え、街の活力が失われつつある状況を危惧する先人たちが、文化芸術の持つ創造性を生かして都市を活性化する「創造都市」の考え方に着目し、横浜市は他の自治体に先駆けて、創造都市施策をスタートさせました。

横浜市の創造都市施策の特徴として、文化芸術や経済の振興のソフト施策と、まちづくりのハード施策を一体的に行うことで、人と街を一緒に育ててきました。

林市政以降、文化芸術は、イベント開催にすり替わり、文化観光局は、イベント調整が主な業務であるかのようになり、まちづくりや、経済活動といった観点での関わりが薄くなり、創造都市施策が衰退してきました。

私は今こそ創造都市施策の役割を再認識し、取り組んでいく必要があると考えています。そこで、

(1)本市が創造都市施策に取り組む意義について市長に伺いました。

【市長答弁】本施策は、アーティスト・クリエーター等を横浜に呼び込み、制作、発表等の創造活動を促進し、文化芸術の持つ創造性を活用した魅力ある都市の実現を図るもので、先進性、開放性のあるまち・横浜にふさわしい取組です。創造性は様々な社会経済活動における新たな価値やイノベーションの創出につながるため、本施策は今後の横浜の成長に不可欠と考えております。

創造都市施策の取組は、横浜の素敵な街並みに象徴されるように、ハード面の事業やイベントに注目されがちですが、その本質は創造性を担うアーティスト・クリエーターなどの「人」なのです。そこで、

(2)アーティスト・クリエーターの集積状況について市長に伺いました。

【市長答弁】平成27年国勢調査によると、本市に住む美術家やデザイナー等の人数は、約8,300人となり、創造都市施策開始前の平成12年調査と比べ、約20%増加しています。これまで、事務所開設助成を通じて、146組のアーティスト等が活動拠点を構えたほか、令和元年度は、約100組の国内外のアーティストが滞在制作するなど、創造都市施策の効果が表れているものと認識しています。

市長は「データは数字の羅列ではなく、人々の暮らしの実態を客観的に映し出し、次の一歩を踏み出す基盤となる。」とおっしゃいました。そういった意味でも、単にデータだけをみるのでなく、「人」を集積したことでどのような効果があり、創造都市施策の課題が何かをしっかりと評価することが重要です。そこで、

(3)アーティスト・クリエーターの集積成果をどう評価しているのか市長に伺いました。

【市長答弁】例えば、カンヌ映画祭で日本初の脚本賞を受賞した東京藝大映像研究科出身の濱口監督をはじめ、集積したアーティストから世界で活躍する人材が多数生まれ、文化芸術創造都市としてのプレゼンス向上に繋がっています。一方、創造性を持つアーティスト等とスタートアップ企業やR&D拠点を結びつけ、イノベーションを生み出していくことが、次に向けた課題と認識しています。

市長が公約で掲げた「横浜の歴史・文化を活かした、心豊かな「魅せる街」づくり」とは、開港都市としての歴史や、文化等の都市空間を活用してきた創造都市の、取組そのものと理解しています。そこで、

(4)「横浜の歴史・文化を活かした、心豊かな「魅せる街」づくり」を実現するため、創造都市施策をどのように進めていくのか市長に伺いました。

【市長答弁】これまでアーティスト・クリエーター等の創造性を生かし、歴史的建造物等を活用しながら、魅力的なまちづくりを進めてきました。今後は、まちづくりだけでなく、イノベーションの創出や共生社会の実現など、様々な分野で文化芸術の創造性を生かした取組を加速化させるため、関係する部局が更に連携を深め、創造都市施策を進めてまいります。

横浜をより魅力的な街にしていくため、アーティスト・クリエーターの持つ創造性を生かしていくことは有効なことです。

市長が掲げる公約には「市内郊外部の再生」ともあります。私の地元の鶴見区の鶴見小野では、角打ちの酒屋さんを拠点に、地元の商店街や消防団、住民の人たち、そしてアーティスト・クリエーターや学生たちがメンバーとなり、プロジェクトを立ち上げ、この地域を芸術文化で盛り上げようと言う、地道な取り組みが行われています。

この取り組みは、まさに市長がいう「地域で活動されている皆様との協働による住民自治」のモデルの一つになり得るものですし、まさに芸術文化の振興と、地域経済の活性化、住民主体の街づくりを、三位一体に展開する郊外版「創造都市施策」なのです。

将来を見据え、こうした施策の本質を理解し、しっかりと推し進めて頂くことに期待します。

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